密かに3年前のあの日から懸案事項でした。
鈴印の印は全て、彫刻後に1本1本丁寧にバフで磨き上げています。
やり方や使う道具は親父から教わったとおりで、他を知らないから特に疑問にも思わなかったんです。
とはいえなんとなく「言うほど綺麗になっているかな?」なんて、ささやかな疑問を持っていたことも事実でした。
なぜなら、それほど磨けていると感じていなかったから。
ところがある日、衝撃に事実を目の当たりにしました。
それは3年ほど前、象牙のメーカーさんにお邪魔した際にバフ磨きをみせてもらったら、驚くほど輝きが違っていたんです・・・
2019年11月7日に公開したブログですが、お問い合わせをいただき、実際に使っている道具をやり方の動画を追記し、2024年6月26日にリライトしました。
以前のバフは洗濯機改造型だった
工場見学の際にヒアリングを重ねた結果、いまいち光らない原因はそのトルクであるとの結論に至りました。
そういえば昔、親父から聞いたことがありました。
ウチのバフは洗濯機をバラし、中心のモーター部分のみを応用して制作したもの。
器用な親父だったんです。
とはいえそんな弱めのバフでもなかなか強力で、適当に当てていると弾かれて欠けてしまいます。
前述の通り、完成した印を磨きますから、万が一も失敗すると最初からやり直しです。
そんな話を過去にもブログに書いていましたし、動画では懐かしの洗濯機モーターも見ることができます。
また最近ではお持ちの印の彫り直しなども承ります。
せっかくなら驚くほど綺麗にしてお返ししたいじゃないですか。
実は以前どこかで見た、とある靴のリペアマンの言葉をイメージしていたんです。
「修理だけでもいいんだけど、どうせなら綺麗な方がお客さんも嬉しいじゃん?」
そこでは靴底の張り替えだけを頼んでも、アッパーまで驚くほど綺麗にしているんだそうです。
鈴印もそうありたい。
衝撃から3年後、とあるきっかけで自作のバフをつくれることを知りました。
バフ改造物語
鈴印にもモーターがあって、片方を交換できることを教えていただいたのです。
それは刃物を研ぐ際に最初に角度を決めるためにグラインダーでした。
軸を中心に左右にグライダーの砥石がついていたんですが、片方をバフに差し替え。
ちなみに差し替え用のバフ布は、この機械のメーカーさんに取り付けられる仕様を聞いて、専門店で購入しました。
そんなワケでようやく昨日全てのパーツが揃い、早速組み立てスイッチオン。
実際にバフがけに使っている道具と流れ
さすがにあれから5年も毎日使ってますから年季が入ってきました。
ちなみに使用している道具は以下の3つです。
サンドペーパーと、水と、研磨剤。
サンドペーパーはホームセンターで売っているかなり荒いものでかまいません。
霧吹きはなんでもいいですし、なければ100円のでも大丈夫。
そして研磨剤ですが、白トリポリを使用しています。ちなみに赤トリポリって粒子が粗いものはNGです。
手順は以下。
- バフ面を研磨剤でけずって、表面の汚れや余分な研磨剤をリムーブするだけでなく、平らにすることで均等に磨けるようにする
- バフ面に、霧吹きで水を拭きかける
- バフ面に、研磨剤を塗り込む
- 印材を磨く
- クロスで磨き上げる
手順は以下の動画をご覧ください。
最後に
もちろんすべての印材が磨けるわけじゃないんですが、象牙や水牛などの天然材は、このようにしてリニューアルしてお渡ししています。
あまり表に出ない部分ではありますが、鈴印の大きなこだわりの1つでもあります。
最後に動画でも使用した印材の、磨きのビフォーアフターをご覧ください。
やはりなんでも綺麗なほうが気持ちいいですからね!