先日、鈴印の店内の一番目立つ場所に、新しいひとつの書を飾りました。
書かれている言葉は「王道邁進(おうどうまいしん)」。
驚くなかれ、この文字は、筆ではなく指で書く「指書」です。
墨の濃淡が織りなす力強さと、どこか包み込むような温かさ。
この文字を見るたび、背筋が伸びるというか、またそれでいて胸が熱くなるような不思議な感覚に包まれます。
実はこの書、頂き物なのですが、そこには友人、母、そして先生との不思議なご縁が繋がっていました。
きっかけは、40歳の頃のスローガン

「王道邁進」は、私が40歳の頃、異業種交流会の会長を務めた際に掲げたスローガンでした。
その決意として、私自身で書いたのが上の書です。
この言葉を選んだ理由として、当時の私は迷ったときに「これは王道か? それとも邪道か?」を判断基準としていました。
ところが後になって、王道の対義語は邪道ではなく「覇道(武力や権謀で天下を治める道)」であると知る(^_^;
その意味を知ったとき、私は思わず苦笑。
だって、どう考えても当時は「覇道」そのものだったからです。
勢いと根性だけで突き進み、実際の人間関係のみならず、SNSでもどれほどご迷惑をおかけしてきたことか♡
……と、そんな若気の至りが思い出されます。
一応、王道と覇道について調べたことは、過去のBlogにも書いています。
友人が先生に伝えた「10年の変化」

今回、この書を依頼してくれたのは、長年私を見守ってくれた特別な友人。
互いに切磋琢磨し、酸いも甘いも共有してきた彼だからこそ、私の10年間の変化を見てくれていたようです。
書の先生は、作品を書く前に必ず「受取人の人となり」を聞くそうです。
その際、友人はこう伝えてくれたといいます。
「彼は昔、覇道を突き進んでいたけれど、10年経った今は、本当に王道を行く人になりました」
やっぱ昔のワタクシはそうだったのね(^_^;
しかしながら、そんなふうに言葉にしてもらえたことが、まず胸に響きましたね。
自分では気づきにくい内面の変化を、心を許す友人の言葉として聞くと、嬉しいやら恥ずかしいやらでございます。
実は10年前、先生にとんでもない対応をしていた
さらに驚いたのは──この書の先生は、10年ほど前に母のご縁で一度、鈴印に来てくださっていたという事実でした。
実は以前、私の母も先生に師事し、指書を習っていた時期がありました。
そのご縁で鈴印に来店されたそうなんですが、それをお袋は懐かしそうに思い出しながら
「覚えてる?あのときね・・・
「お客さんじゃないなら、早く帰ってもらってよ」
って言われたんだよ。」
まさに覇道♡
とはいえ、確かにそういう性格だったことは間違いございません。
覇道から王道へ──仕事の軸が変わった10年
思い返すとあの頃の私はFacebookにのめり込んでいたのもあって、手軽でSNS映えするシヤチハタ印や簡単な印章ケースなどを中心に売り出していました。
「売れるもの」「効率の良いもの」を追いかけ、時代の空気に合わせたつもりでしたが、どこかお店の本流とはズレていたように思います。
そんな時、別の友人から言われた一言が転機になりました。
「ブランドを作るのは時間が掛かりますが、壊れるのは一瞬。御社はやはり、本格的な手書きと手彫り印を中心に据えるのが王道じゃないですか?」
この一言が、今に通じるきっかけになろうとは。
安くて手軽なものではなく、自分が心から「良い」と信じるものを届ける。
たとえ高価で手間がかかっても、一生使える品質を提供する。
それこそが、鈴印の進むべき「王道」だと気づいたのです。
妥協しない仕事を続けていくうちに、実力も、自信も、以前より確かなものになってきたような気がします。
静寂の中の筆運び(Instagram動画)
今回、書の先生が実際に「王道邁進」を書いている場面の動画を特別にいただくことができました。
張り詰めた空気の中、力強くも静かに運ばれる筆。
その一筆一筆に、言葉以上の想いが込められているのを感じます。
ぜひその場の空気感ごとご覧ください。
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父の仕事道具と並べて

そして今、この指書は父が使っていた仕事道具と並べて飾っています。
使い込まれた父の彫刻刀、印材、そして筆と硯。
どれも強い存在感があり、職人としての王道を静かに物語っています。
あの頃は到底気づけなかった「真正面から仕事と向き合う姿勢」を、今になってようやく理解できた気がします。
この場所に飾ったのは、迷ったときに立ち返るため。
そしてこれからも、ごまかしのない王道を進み続けるための、小さな決意表明でもあったりします。
そして先日の手塚裕之選手とのツーショットのような背景にも最高♡
そういえば手塚選手も「これカッコいいですね!ウチもこういうの飾りたいな」
とのお言葉も頂戴しました。
最後に

「王道邁進」。
40歳の頃に掲げたその言葉は、当時の自分には完全に若気の至りでした。
しかし今は、この言葉をようやく自分の歩みに重ねられるようになった気がします。
友人の想い、母の縁、そしてあのときの先生との再びのご縁──すべてが結びついて、この一枚の額になりました。
これからも鈴印は、皆様に誇れる「王道」を歩み続けたいと思います。
そんなわけで、ご来店の際は、ぜひこの額をご覧になってみてください。
それにしてもこんなに素敵なプレゼントをいただき、彼の誕生日にはなにか御礼をしないといけませんね。
彼の誕生日知らないけど♡

