民生(みんせい)という象牙の印材をご存じでしょうか。
こちらのブログでもたびたびご紹介している、象嵌師・山崎民生さんが手がけた、銘と花押の入った印材です。
印章の世界では、その名前を聞くだけで少し背筋が伸びる、そんな存在です。
その民生を「引き取ってもらえないか」というお話を、これまで何度かいただいています。
そして、そのたびにお断りしてきました。
正直に言えば、もったいない

彫り手としては、民生と聞けば心が動きます。
残念ながら新しく手に入る機会はもうほとんどありませんし、彫るたびに特別な緊張感をくれる材料です。
その感覚は、以前「民生を彫るとき、手には何が起きているのか」に書きました。
しかも大きく太めな印材であれば、それでなくても出会う機会など、そうそうありませんから。
そのため毎回、実はためらっています。
決めているのは「どこから来たか」

理由はひとつ、出処です。
象牙の印材は、メーカーから問屋、問屋から印章店へという決まったルートを通って届きます。
鈴印の民生は、すべてこのルートの中から来たものです。
しかしながらこのルート外から来たものは、どれだけ立派に見えても、私には出処を確かめようがありません。
確かめられないものは、いつどのような経緯があったのか、調べることも想像することもできません。
つまり、素材に責任が持てない。
これが一番の理由です。
くわしくは、象牙オンラインショップに書きました
マスターピースとデッドストックの違いや、お手元に民生がある方へのご提案も含めて、象牙オンラインショップの読みものにまとめました。