私たちは日々の暮らしの中で、たくさんの「約束」を交わしています。
友人との待ち合わせや仕事の打ち合わせといった身近なものから、住宅購入や結婚など人生の大きな契約まで。
そして日本において、そうした大切な場面で欠かせないのがハンコです。
小さな印章ですが、私たちの身分を示し、信頼を形にする役割を担ってきました。
ただ、このハンコも扱い方ひとつで思いがけない問題を招くことがあります。
特に「枠が欠けた印鑑」には注意が必要です。
2017年1月12日に公開した記事を、2025年9月に再リライトしました。
枠が欠けたハンコの意外な影響

見た目だけの問題ではない
「ちょっと欠けているだけ」と思うかもしれませんが、それが思わぬトラブルを呼ぶことがあります。
登録されている実印が欠けてしまうと、役所や法務局で同じものと認めてもらえない場合があるのです。
かといって欠けを再現して同じ印鑑を作り直すと、法律上は「印章偽造」にあたってしまいます。
つまり、欠けた印鑑を使い続けるのは見た目以上にリスクが大きいのです。
また、残念ながら欠けた部分だけを補修することもできません。
これは技術的というより物理的な問題で、詳しくは過去の記事でも解説しています。
印象を左右するサイン
欠けた印影は「注意が足りない」「雑だ」と受け取られやすく、特に経営者の間では「細部をおろそかにする人」と判断されがちです。
先日、ある経営者は「欠けた印鑑を使っている会社はお金の回収がしづらい」とも言っていました。
これはあながちいい加減な話ではないのかもしれません。
もちろん契約そのものが無効になるわけではありません。
ですが「印鑑ひとつに無頓着=お金の扱いもルーズ」と見られることで、結果的に回収トラブルや取引停止に繋がる可能性があるのです。
考えられるリスク

1. 金銭的な損失
銀行や役所で「印影が不鮮明」「欠けがある」と判断されれば、手続きが進まず取引が遅れてしまいます。
その遅れが金銭的な損失に繋がることもあります。
2. ビジネスチャンスの逸失
不動産契約の場では、印鑑の状態が理由で契約や登記がやり直しになることもあります。
その間に取引が止まり、大きな機会を逃してしまうこともあるのです。
3. 信頼を失うリスク
ハンコは「その人や会社の分身」とも言われます。
欠けた印鑑を使うことは「いい加減な人」という印象を与え、長期的に見れば大切な人間関係や取引の継続にも影響を及ぼします。
どう対応すればいい?
日常のお手入れを大切に
特別なことをする必要はありません。使用後に朱肉を丁寧に拭き取るだけでも欠けや摩耗を防ぐことにつながります。
こうした小さな積み重ねが、印鑑を長持ちさせる一番の方法です。
欠けが出たら新調と再登録を
欠けや摩耗が進んだら、新しい印鑑を作って市役所や法務局で再登録するのが安心です。
多少の手間はかかりますが、「安心して取引を続けるための投資」と考えれば決して無駄にはなりません。
最後に
ここまで見てきたように、枠の欠けは見た目にとどまらず、契約や取引の場で思わぬ支障を生むことがあります。
相手に与える印象も含め、小さな欠けが大きな影響を及ぼすのです。
そして最終的に問われるのは、その人や会社が本当に信頼できるかどうか、という一点に尽きます。
実印は小さなものです。
その欠けなどはさらに小さいです。
けれども、そうした細部にまで気を配ることで、より良いビジネス、そしてより豊かな人生を築くことができるでしょう。
実印を捺すことは信用取引です。
信用できない人とは取引したくないのは誰でも同じです。
ハンコの枠が欠けて失うもの――それはお金でも、チャンスでもなく、何よりも大切なあなたの信用なのです。