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枠が欠けたハンコを使っていて失うもの

  1. 印鑑の物話
  2. 10734 view

私たちは生活していく上で、目には見えない「約束」をたくさん交わしています。
例えば遊びや飲みの約束や会合、さらには人生を変えるほどの大きな契約まで。
そして日本において、大きな契約の際に登場するのがハンコです。
この小さな印章が、私たちのアイデンティティを象徴し、かつビジネスでの信頼を構築する上で大切な役割を果たしています。
でも実はこのハンコ、ちょっとしたことで大きな問題を引き起こすことがあるんですよ。

以前私は県外での大切な契約時、実印を忘れてしまったことがありました。
その時の焦りと言ったら…!
この経験から学んだのは、ハンコひとつにも細心の注意を払うことの大切さです。
特にハンコの枠が欠けてしまった場合、それがどれだけ大きな影響をもたらす可能性があるか。
今回はそんな話をしてみたいと思います。

2017年1月12日に公開したブログですが、2024年1月13日にリライトしました。

枠が欠けたハンコの意外な影響

見た目以上の問題

ハンコの枠が欠けると、ただ見た目の問題だけでは済まなくなるんです。
ほんの小さな欠損かもしれませんが、印鑑の合法性や信頼性に影響を及ぼすことがあります。
例えば実印として登録された印鑑が欠けていたら、重要な契約や公的な書類に使うことに不安を感じますよね?

実際に法的には枠が完全である印鑑登録の印影と、枠が欠けている印影では同一ではないと判断されてしまうケースもあります。
だからと言って、欠けを再現する全く同じ実印を作るのは刑法167条印章の偽造として犯罪行為に該当してしまいます。
ですから、枠が欠けたハンコをそのまま使い続けるのはリスクが高いんです。

また残念ながら欠けた部分だけを補修することもできません。
これは技術的というよりも物理的な問題になりますが、詳しくは過去のブログをご覧ください。

信用問題にも影響

さらに、枠が欠けたハンコを使い続けることは、個人や企業の信用にも影響するんです。
日本では正確な印影が基本になるため、綺麗に正しく捺してあることが大前提になっているだけでなく、向きや角度まで気にするような話題は耳にしたこともあると思います。
中にや極論に感じるものも含まれますが、特に経営者においてはこの印影を非常に重要視している方も多く、印影が雑な場合気持ちよく取引ができないと感じることも耳にします。
特にビジネスの世界では「神は細部に宿る」という言葉に象徴されるように、細部にまで気を配ることが信頼とプロフェッショナリズムの証に繋がります。

具体的なリスクはどんなもの?

1. お金の損失

枠が欠けたハンコを使用することで、金銭的な損失が起こる可能性もあります。
例えば銀行での取引において、ハンコの信頼性が疑われる、具体的には印影の真偽が怪しい場合などは、取引が遅くなったり、拒否されてしまう可能性があります。
さらには実印が破損していると、重要な契約が無効になる可能性もあり、これがビジネス機会の損失や罰金の発生につながることも考えられます。

2. 機会の逸失

友人の司法書士に確認した事例では以下のようなケースを紹介してくれました。

不動産の売買契約は国家行為にあたるため、最終的に管理するのは法務局になります。
法務局の書類チェックは非常に厳しく、ゴミが付着いて不鮮明なだけでアウトだそうで、代理人でもある司法書士も慎重に見極めるようになり、枠が欠けている実印は契約印として認められないそうです。
そのため作り直し、登記し直しなどで、機会の損失に繋がってしまいます。

このように重要な契約の場面でハンコの問題が浮上すると、取引そのものが成立しないこともあり、これはビジネスチャンスの損失に直結します。

3. 信用の喪失

ハンコは個人や企業の分身とも言われるように、信用の象徴でもあります。
つまり枠が欠けたハンコを使用することは、注意深さやプロフェッショナリズムの欠如と見なされることに繋がるんですね。
結果、信頼性に影響が出て、長期的なビジネス関係や顧客の信頼を損なう原因となり得ます。

このように枠が欠けたハンコの使用は、個人やビジネスにリスクや損失があることがわかります。
では次のセクションでは、これらのリスクを回避するための具体的な対策や提案を行います。

では、どう対処すればいいの?

ハンコのメンテナンスが大切

ハンコは定期的に点検し、汚れなどがあればその都度綺麗に拭き取ることが大切です。
また素材や取り扱いによっては、欠けだけでなく摩滅などの経年変化をしてしまう恐れもあります。
素材による経年変化も、使用後のメンテナンスによって大幅に遅らせることができます。
何事もそうですが、ハンコもメンテナンスが最も大切と言っても過言ではありません。

必要に応じて新しいハンコの作成と登録の検討

上記の通りメンテナンスを行なっていても、素材の耐用年数を超えると欠けや摩滅、また写りの劣化なども起こりえます。
その場合は必要に応じて、新しいものへの交換を検討しましょう。
新しい実印を作成された場合は、市役所や法務局に再登録する必要があります。
これにより、新しいハンコが正式な実印として認められ、法的な効力を持つようになります。

そして新しいハンコを作る際にも法的基準にのっとり、以前と違う印影で作成し、登録を変更するなど、一定の期間が必要になりますので、時間的に余裕を見ておくことも大切です。

最後に

今回の話を通じて、枠が欠けたハンコがもたらすリスクについて考えてみました。
しかし、これはハンコに限った話ではありません。
日々の生活で見落としがちな小さなことが、実は大きな意味を持つことが多いんです。

実印は小さなものです。
その欠けなどはさらに小さいです。
でもその細部にまで細部にまで気を配る事で、より良いビジネス、そしてより豊かな人生を築くことができるでしょう。

実印を捺すことは信用取引です。
信用できない人とは取引したくないのは誰でも同じです。
もしかするとハンコの枠が欠けて失うものは、お金でもなく、チャンスでもなく、何よりも大切な信用なのかもしれません。

鈴印

〜印を通してお客様の価値を高めたい〜

鈴木延之
代表取締役:株式会社鈴印

1974年生まれ。
A型Rh(+)

1932年創業、有限会社鈴木印舗3代目にして、現プレミアム印章専門店SUZUIN代表取締役。専門店として、印章(はんこ)を中心としたブログを毎日発信。本業は印章を彫る一級印章彫刻技能士。
ブログを書き出したきっかけは、私の親父が店頭で全てのお客様に熱く語っていた印章の価値や役割そして物語を、そして情報が散見する中で印章の正しい知識を、少しでも多くのみなさまに知っていただきたいから・・・
だったのに、たまに内容がその本流から全く外れてしまうのが永遠の悩み♡

一級印章彫刻技能士
宇都宮印章業組合 組合長
栃木県印章業組合連合会 会長
公益社団法人全日本印章業協会 ブロック長

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