過去ブログ一覧

月を選択してください

カレンダー

2024年10月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  

決め台詞は「ハンコ捺さねーぞ!」

  1. 鈴印と人

今日はお客様の言葉です。
ありがたいことに鈴印は、印章をとても大切にされるお客様に支えられています。
そしてみなさんからは、リアルな現場の捺印にまつわる事実を教えていただけます。

決め台詞は「ハンコ捺さねーぞ!」

その方は地元で非常に有名な建設会社のベテラン社員さんです。
昨今の印章不要論は当然目にされていますが、それに対してのご意見でした。

あれって、どうなんですか?ちょっと意味が分からないんですけど。
私自身ハンコは大切なものだって教わってきましたし、ウチの社長もハンコを捺すことを凄く大切にしています。
今は簡単にpdfとかにデジタルの印を捺せちゃったりするじゃないですか?
どうしても現場は急いでるんで、いちいち社長の決済をもらってる時間がない。
だって会社のハンコを捺してもらうためには担当者と上司の認印を押した申請書が必要で、それでようやく捺してもらえる。
それだと時間が掛かってお客さんに迷惑を掛けちゃうんで、こっそりそのデジタル印で進めてたんですよ。
そうしたらある時それが社長にバレちゃって、、、苦笑
それはそれは物凄く怒られました。

今流行りのテレワークの象徴のような出来事ですね。
一方で、こんな体験も数多くあるそうです。

私たちの仕事って、お客さんに実印を捺してもらえないと進まないじゃないですか。
どれだけ他が揃っても最後のピースが実印なんです。
それをお客さんもわかってて。
だからちょっとでもこっちに不手際があると、もう決め台詞のように「ハンコ捺さねーぞ!」
その度にこっちは大慌てですよ。
だから毎回実印をもらうまでは、慎重に慎重に進めていくワケです。
ようやくいただいた時の達成感は、やはり今でも格別ですね。

ご自身の社内での話、そしてお客様とのやりとり。
それらを踏まえて、その方はこのように解釈されているそうです。

ハンコを勝手にデジタルで進めちゃったことに対して、ウチの社長が怒るのも無理ないです。
特に建設業は金額も大きいですから、トップはその1つ1つを慎重に判断する必要があります。
当然責任者であれば、より慎重になるのは当然です。
一度社長が言っていたことがあるんです。

「俺は基本的にハンコは捺さないって決めてる。なんでかって?だって捺さなければ大丈夫だから。捺したら終わりだろ?
1つ捺さないってルールを決めておいた方が安心感がある。
でも捺さないワケにいかない。だからその都度捺す前に覚悟を決めるんだ。そして覚悟が決まったしるしとして捺すようにしてるんだ。」

ハンコを捺すって、なんかもう後に戻れないっていうか、独特の緊張感が伴いますよね。
あの儀式って絶対必要だと思うんです。
意思の決定はデジタルでもできるのは分かるんですけど、相手も自分も本気かどうかは伝わらないないじゃないですか?
やっぱやめたってひっくる返されても困っちゃいますよ。
だから覚悟を決めて、朱肉をつけて、上下確認して、しっかり捺す、その一連の所作をお互いに行うことで、より確実に気持ちが固まります。
お互いの明確な意思というか熱量を確認しあって、安心して進められるんですよね。

最後に

話を聞いてよぎったのは、イチロー選手のバッターボックスに入る時の所作でした。
同じルーティンを繰り返すことで、集中力を高めて勝負に臨むそれです。
高額の契約って当事者にとっては真剣勝負の世界です。
タイミングが合わなければ打席を外す、それが「ハンコ捺すねーぞ!」の世界に通じるような・・・

確かに数百円の品物なら1Clickで購入できるのは便利ですけど、数千万円や億を超える契約は真剣勝負です。
野球にしろ武道にしろ、真剣勝負の際はお互いに熱量を交わして納得してはじまります。
日本における契約は、最初は審判がいないです。
また基本的に、揉めたら喧嘩すればいいって文化でもないです。
だから合理化よりも柔軟性のある道を選んできたように思えてなりません。
お互いを敬う文化を持つ日本だからこそ、そのための通過儀礼を行うことが最適なのかもしれません。

 

鈴印

〜印を通してお客様の価値を高めたい〜

鈴木延之
代表取締役:株式会社鈴印

1974年生まれ。
A型Rh(+)

1932年創業、有限会社鈴木印舗3代目にして、現プレミアム印章専門店SUZUIN代表取締役。専門店として、印章(はんこ)を中心としたブログを毎日発信。本業は印章を彫る一級印章彫刻技能士。
ブログを書き出したきっかけは、私の親父が店頭で全てのお客様に熱く語っていた印章の価値や役割そして物語を、そして情報が散見する中で印章の正しい知識を、少しでも多くのみなさまに知っていただきたいから・・・
だったのに、たまに内容がその本流から全く外れてしまうのが永遠の悩み♡

一級印章彫刻技能士
宇都宮印章業組合 組合長
栃木県印章業組合連合会 会長
公益社団法人全日本印章業協会 ブロック長

記事一覧

関連記事

はんこって別になんでもいいんですよね?

お客様からの嬉しいお言葉は何よりも励みになります!鈴印 鈴木延之です。タイトルにも書きましたが、こういうご質問もよく受けます。「実印って登録できれば何でもいいんですよね?…

  • 410 view

お客様の声

このたび鈴印ホームページに新コーナーを新設致しました。その名もずばりお客様の声「ウチに来てないよ!」「こんなの見た事ないよ!」って方も多い…

  • 260 view

印鑑からはじまる物語

はんこ店さんと一口に言っても、実はいろんな仕事があります。そんな中、私の役割は、印鑑をデザインすることだと考えています。もしかするとみなさんは印鑑を彫ることって思…

  • 155 view

お客様の声ページ、更新しました

こんな時期だからこそ、お客様からの直筆のおハガキに、とてつもないパワーをいただけます。余計な装飾は不要ですね。ありがとうございます!お客様…

  • 159 view

鈴印の印はすぐわかる

今回、司法書士の方から、嬉しいお言葉をいただきました。ご存知のように司法書士さんは捺印の機会が多いため、印章を大切にされています。また多くの印をペラペラと目で照合…

  • 1548 view

豆印を購入されたお客様の声

ありがたいことに鈴印には毎日、お客様からのお声を頂戴しています。それは店頭であったり、お電話であったり、メールであったりと多岐に及びます。また嬉しいことに実際にお…

  • 346 view