かつて、鈴印の最高峰の印鑑セットとしてのみ製作され、その圧倒的な存在感で多くの方の目を奪った「藍染めクロコダイル」。
当時、ブログをご覧いただいたお客様から「どうしてもケースだけを譲ってほしい」という切実なご要望を複数いただきました。
しかし、当時はセットとしての完成度を追求していたこと、そして製作工程の制約から、大変心苦しくもすべてお断りをしてまいりました。
しかし今、その決断を翻し、「15mm丸×60mm丈用・限定1個」のみ、ケース単体での販売を解禁することに決めました。
理由は一つです。
このケースを形作る「二つの魂」が、もはや再現不可能になったから。
色彩の魔術師「three2four」による藍染め

このケースの顔となるのは、息を呑むような深い藍色。
革のダイヤモンドと称されるクロコダイルに、日本の伝統色である藍色を幾重にも重ね、命を吹き込んだのはビスポークレザーブランド「three2four」です。
three2fourが手掛けたのは、この唯一無二の「色付け」。
クロコダイル特有の斑(ふ)の立体感を活かしつつ、深淵な美しさを引き出す染色は、他では決して真似のできない芸術の域に達しています。
あえて「肉池(朱肉入れ)なし」に仕立てた理由

内部構造をご覧いただくと、このケースには肉池(朱肉入れ)がありません。
実は製作段階で、大きな葛藤がありました。
three2fourによって染め上げられた原皮から、最も美しい表情を見せる部位を厳選した結果、肉池を備えるためのサイズを確保することがどうしても叶わなかったのです。
無理に他の部位を継ぎ足したり、質を落としてサイズを広げることは、鈴印の矜持が許しません。
「この最高峰の革を、最も美しい状態で形にする」という一点を追求した結果、あえて肉池を排したスマートなフォルムが完成しました。
日本唯一の職人「KF」深田氏による魂の組立

そして、three2fourが魂を込めて染めた革を受け取り、最終的な「形」へと昇華させたのが、日本でただ一人、手作りの印章ケースを作り続けるKFの職人、深田氏です。
機械による量産品とは一線を画す、手仕事による圧倒的なフィッティング。
硬く扱いが難しいクロコダイルを、一点の淀みもなく金枠へと収める技術は、まさに神業と言えます。
しかし先日、このケースの要である「燻し枠」の生産終了が決定いたしました。
深田氏の手打ちによってのみ生み出される重厚な質感と、極上の開閉音。
この共演は、今ある在庫を最後に、二度と再現されることはありません。
最後の一人に託す「二度と作れない」という価値

- three2fourによる、唯一無二の「藍染め」
- 日本唯一の職人、KF深田氏による「手作りの組立」
- 生産終了となった「伝説の燻し枠」
これらが奇跡的に融合したこのケースは、もはや単なる収納具ではなく、日本の職人技術の到達点とも言える工芸品です。
価格は、88,000円(税別)。
30年続く鈴印の歴史の中でも、これほどまでに尖った個性と技術が揃った逸品は他にありません。
かつてこのケースに恋焦がれた方、そして、この「二度と作れない事実」の重みを共有してくださる、ただ一人の方へ。
