ファッションにはトレンドがあります。
太いのが流行れば細いのが流行り、細いのが流行れば今度は太いの。
まあ人って目新しいモノに新鮮さを感じますから、これってある種非常に理にかなった法則なんでしょうね。
じゃあハンコにはないの?
実はスパンは長いんですけど、大きなトレンドがあるんです。
大きな流れは細めから太めへ。
2018年4月24日に書いたブログですが、2019年11月12日にリライトしました。
実印のトレンドは細い篆書から太い印相体へ
実印の場合大きな流れで言うと、明治時代に太政官布告によって最初に一般市民に行き渡ったのが篆書でした。
お札に押してある「総裁之印」のイメージで、細めですっきりとしていて、上下左右の空間が大きい雰囲気のものでした。
総裁之印の詳しくは以下をご覧ください。
そして昭和50年頃、印相体が誕生しました。
篆書をベースに全ての線を太く伸ばし、隣り合わせた文字や枠に文字を付け、大きく立派に見えるのが印相体。
余談ですがそれと一緒に「印鑑にも相があり、印相体は八方に縁起が広がる吉相印」などの文言も加わり、今でもまことしやかにささやかれる「印鑑=縁起」の図式も誕生しました。
親父の話によると新聞等で運気が上がると大々的に宣伝され、一気に市民権を得たそうです。
このタイミングでそれまで主流であった細くスッキリした篆書から、太くどっしりした文字がトレンドになっていきました。
この流れは現在も続き、篆書に関してもそれまでの細めから太めに移り変わりました。
印鑑の印象を変えたければ太さを変えるのがオススメ
中央のスライダーを左右に動かすとそれぞれの比較ができます。
左側が文字が太くて枠が細い今人気の篆書。たっぷり配字して、大きく見えます。
対して右側は、文字が細くて枠が太い今回ご提案の篆書。内輪に配字して、文字として認識しやすくしています。
たったこれだけの事なのに、印象がかなり違うのが分かりますね。
トレンドは廻ります。
だから今の主流から一昔前の雰囲気を現代風にアレンジし直すことで、新しいトレンドになります。
なんかお洒落に見えませんか?
最後に
実は今日、とある総会に出席し総会資料を拝見したんですが、監査としてこの文字が細く枠が太い印を押している方がいたんです。
総会資料ってみんなで認印を押し合いますよね?
だからなおさら目立つ。
いや〜かっこよくてですね、聞くとお父様から譲り受けた印だそうです。
この時に時代は回るんだなと感じました。
昔は当たり前だった彫り方も、時代が一周して最新に見える。
ちなみに私は職人時代、この手の彫りもかなりこなしておりましたので密かにとっても大好き。
ここだけの話、線を細くするのって勇気と技量が必要で、最初はなかなか怖くて彫れないんですよ。
繊細かつ大胆な♡が必要。
お苗字だけでなく、フルネームでも対応します。
しかも素材も一切問いません。
みんなで押し合うようなシチュエーションで、超本格派の文字で、思いっきり差をつけてみませんか?
こういう所にこだわる人が本当にカッコいいを私は思います。