その日は珍しく朝から忙しいスタートでした。
明日が発送締め切りである補助金の、資料作成やら振込手続きに追われる午前中。
午後には慣れないzoomでのオンライン相談のお約束、そして社長に話を聞きたいと別途ご来店の予約、そこに追い討ちを掛けるように別の急ぎのご注文。
さすがにこれだけ重なると、忙しいのに慣れてないワタクシは結構テンパり気味。
そんな時に限ってさらに厄介なお話が舞い込みます。
実録、振り込め詐欺♡
午後1時
午前中の目標が終わらず、この日に限ってハズレのダイエット弁当を鼻をつまみながらかき込み、急いでデスクの前へ。
まず補助金の資料を熟読しようにも締め切りに焦り、お店の電話は鳴り続け、店頭にお客様はひっきりなしで、そうじゃなくても集中力のないワタクシですから、内容が一向に頭に入ってこない。
これじゃ埒があかないと、商工会議所の担当の方に電話して相談。
細かいややこしい部分を教えていただいている最中、目の前のPC右上に何やら不穏なメールアラートがポンッ。
原文そのままにコピペします。
差出人: 〇〇〇〇 <〇〇〇〇@gmail.com>
題名: 何故一生物だかと言ってうったのですか?
お電話番号: 〇〇〇〇〇〇〇〇メッセージ本文:
後後文句言えないように、
領収書にも、
日日、金額も無記入の
領収書わたすんですね、
頭にくるなお問い合わせのメールより
意味不明が続出です。
題名と本文の内容が一致していないし、目的も分からない。
理解できたのは最後の一文で、何やらクレームであることのみ。
「そもそも空の領収書を発行して困るのは事業者側であって、お客さんで困る場合ってあるんかいな?」
そんなことを思いながら、今はまだ資料の打ち合わせ電話の最中。
ようやく提出資料の全てを理解し、まずはさっきのメールの再確認。
「この対応してる場合じゃないよな?時間かかりそうだし」なんて、最初スルーしようかと思ったんです。
なんだけど、頭にちらついて資料作成が進まんのですよ。
仕方ない、時間ないけど解決してスッキリさせよう。
後から考えると、ここで動き出した時点で、向こうの罠にハマっていたんですね。
午後2時
まずはメールにて返信。
内容一部抜粋します。
弊社と致しましてはこれまで、日付もしくは金額等が未記入の領収書というものを発行しておりませんが、なんらかの不手際でお渡ししている可能性もございます。
そのため大変お手数ではございますが、当該領収書をスキャンもしくはお写真を撮って、こちらのメールにご返信いただけますでしょうか?
そちらを確認させていただき、改めてご連絡させていただきます。鈴印から送信メール、一部抜粋
すると20分後に送られてきたのが以下の画像でした。
確かに鈴印の領収書です。
でもおかしいんです。
なぜならこの書式はかなり前に使用していたものだし、本来発行していた領収書と色が違う。
こんな古い領収書を今更処理するって?
しかも未記入の領収書に角印が捺してあるって?
一体どんな場面でこの領収書をお渡ししたんだろう?
疑問が次々と湧き上がりますが、時間に追われているため、解消よりも解決したいが勝ち、さっさと動き出しました。
ところが、この時点で完全に怪しんでいたのが、ワタクシが超絶頼りにしているスタッフでした。
すかさず鬼検索スタート。
顧客様であればデータベースに出てくるはずなのに、全くヒットしない。
仕方なくお電話番号やメールに記載のある文字列を検索。
偽名を使っているのか?なかなかヒットしない。
数少ない情報を精査し、このお問い合わせを送っていただいた方が、PC関連のお仕事をされていることまでは分かりました。
でもワタクシに残された時間は僅か。
だってあと30分後にはzoomのオンライン相談が始まります。
要件さえ分かれば15分くらいかな?そんな予測を立て、電話をかけてみました。
出ないかな?いや、むしろ出ないでくれ?
そんな弱気な思惑は、こんな時ほど逆に作用します。
あれだけ怒り心頭のメールですから、ワタクシも覚悟を決めて臨みました。
午後2時35分
ちょっと待ってくださいね。主人に代わります。
この時点では、全く怒っているような素振りもありませんでした。
ところが変わったご主人様は、出るなり怒号。
この度は無記名の領収書をお渡ししてしまい、誠に申し訳ございませんでした。
電話の音が悪くて怒鳴ってるから、何言ってるか全く聞こえない。
人通り怒鳴って納得したのか、また奥様に変わりました。
だって領収書を見せろって疑われたんですから。
誠に申し訳ございませんでした。
そして3本セットを売りつけたじゃない。
なのに今、認印が要らなくなってるじゃない!
使わないもの嘘ついて売りつけたの?
これどうしてくれるのよ?
そんなに金儲けしたかったの?
ウチは3本セットって設定ないんですけど。
ってか認印いらないって役所の中だけの話だし。
そもそもその文句は太郎に言え。
まあそんなこんなで一向に話が進まず、いよいよzoomのご相談予約時間の10分前になってしまいました。
午後2時50分
話が長くなると、色々な思い出が走馬灯のように蘇ります。
そういえば、ウチの親父も一度怒ると手がつけられず、しかも話が長かったな〜。
そして少なくとも週1のペースで怒鳴られてましたので、耐性は多分かなり強いワタクシ。
気が付くと途中から、全く違うところに意識が旅立つ習慣が身についてるんですね。
そのクセは、こんな電話の際にも発揮されます。
途中からほとんど内容が耳に届かず、頭の中ではzoomオンライン相談のことばかり。
せっかくご予約いただいたお客様にご迷惑を掛けるわけにはいきません。
そうこう考えているうちに徐々に頭も冷静になってきて、これ多分お客さんじゃないな?なんて気がついてきました。
なので久々に、マルチタスクのスタートです。
カチャカチャカチャ!(キーボードを叩く音)
社内チャットでスタッフにメッセージ。
「オンライン相談のお客様に、遅れる旨をお伝えしておいて」
「了解しました」
カチャカチャカチャ!(キーボードを叩く音)
次に資料の続きに着手。
とりあえず、なんか言い終わったっぽいタイミングに、反射で謝る大作戦♡
さっきから申し訳ございませんって、本当に申し訳ないと思ってんの!?
キリがないので、そろそろこちらから動きました。
そのため領収書を再発行させていただきます。
それよりあなたに売りつけられた全く使わなくなった認印の返金をするとか誠意を見せなさいよ。
こういう時は1つ譲歩すると1つ進むはず♡
ご迷惑をお掛けしてしまいましたので、お支払いさせていただきます。
ではご購入いただいた時のデータを調べますので、お二人のフルネームとその当時のお電話番号をお教えください。
出てこない場合もあるんでしょ?
じゃあ認印の代金だけでも払って。
確認ができましたら、その分のお代をお支払いさせていただきます。
でも商品が分かりませんと金額が出ませんし、少なくお支払いしてはご迷惑をお掛けしてしまいますので。
お宅の象牙っていくら?
払ってくれたら送り返すから。
早急に手続きいたしますのでお振込先の口座番号をお教えください。
ネットでの振り込みの場合、翌日の処理になってしまいますので
それなら今日手続きできるから。
お店に今私1人なんですよ。
なら明日でもいいわ。
その代わりさっきのメールに、振り込んだ証拠の写真撮って送ってよ!
それでこの話は終わりにしてあげるから。
もう嫌なのよ、こんな話を延々としてるの。
では恐れ入りますが、お振り込みの口座番号と、お口座の名義人をフルネームで教えてください。
では念のためご主人様のお名前の漢字も教えていただいてよろしいでしょうか?
午後3時15分
電話を切って、まずはオンライン相談の方に確認をしたところ、30分後でも大丈夫とのご承諾をいただいてました。
もちろん超絶優秀な弊社スタッフは、ワタクシが電話口で復唱していたフルネームをすでに検索済み。
「社長、これ見てください」
するとそこに出てきたのは・・・
お店で買ってもいないのに、壊れたので金を返金しろと、全国の小売店に
携帯でメールをしています。 住信sbiネット銀行に振り込めと恐喝します。
絶対に対応しないでください。既に警察も動いています。北海道に住んでいる国家公務員とか、海外から一時帰宅中だから急いで対応しろ
とか、色々難癖をつけてきます。要注意です。拡散してください。
ビンゴ♡
午後3時20分
よし!とりあえずこいつは放っておこう。
それよりもご予約のお客様への連絡を急がねば。
先ほどのとは打って変わってそれはそれは良い方で、この時ほど人のありがたみを感じる時間はありませんでした。
なんかいつも以上に気合を入れてやり取りができたように感じています。
午後4時30分
オンライン相談も無事終了し、資料も全て揃い、郵便局へGO。
なんとか間に合いほっとしつつ、先ほどの件に着手。
ちなみにスタッフはその間に、かなり詳細な個人情報にまでたどり着いていてくれました。
あと1つ、どうしても分からなかった振り込み詐欺での疑問。
「あの領収書はなんだったのか?」
この疑念が解けないと、完全勝利にはなりません。
そんな時またスタッフから助言が。
「もしかして社長、ブログに画像あげてません?」
ビンゴ♡
最後に
犯人に告ぐ。
金が欲しければ、ワタクシしかいない時を狙え♡
追伸:ちなみにこのブログは、友人の弁護士と警察官にも共有しておりますこと、あらかじめご了承くださいませ。