近年、インボイス制度が導入されたり、キャッシュレス決済が一般化したりと、押印を省略する企業が増えています。
しかし、領収書に押印をしなくても本当に大丈夫でしょうか?
やはり疑問に思われる方も多いようで、先日は友人から以下の相談がありました。
この質問に対して、以下のように回答しました。
昨今押印に関して誤った報道も多いため、情報が錯綜しているようです。
そのため今回「押印の本当の意味」と「領収書の偽造リスク」についてお伝えします。
レシートや領収書に押印は本当に必要?「正しい押印の意味」と「偽造のリスク」

そもそも押印の意味とは?
領収書に押印する本来の目的は、「この領収書が確かに自社から発行された正規のものである」と証明し、偽造や改ざんを防ぐことです。
印鑑がなくても適格請求書として成立しますが、現在でもビジネス慣習として押印されることが多く、また印があることによる信頼性や証拠能力を高めるためにも行われています。
法律上はなくても問題ありませんが、「安全かどうか」という点では別の話です。
領収書が偽造されるリスクとは?
もし領収書が偽造されたら、次のようなリスクが企業に降りかかります。
- 経済的損害:架空の経費を計上され、会社のお金が不正に奪われます。
- 税務トラブル:税務調査で偽造が発覚すると、追徴課税や罰則の対象になります。
- 信用の失墜:企業の信頼性が失われ、取引先やお客様が離れてしまいます。
- 法的責任:最悪の場合、法的責任を問われ、訴訟に発展する可能性もあります。
つまり、領収書の偽造というのは想像以上に企業に大きなダメージを与える危険があるのです。
押印さえすれば安心?いえ、印鑑の「質」が重要です
ここで誤解しないでいただきたいのは、単に「印鑑が押してある」というだけで安全というわけではない、ということです。
例えば、誰でも簡単に手に入る三文判やシヤチハタなどの既製品の印鑑は、偽造防止という観点ではほぼ無意味。
コピーや偽造が簡単にできてしまいます。
逆に、専門的な技術で手彫りされた実印や法人印のように、世界に一つしかないオリジナルの印鑑であれば、複製が非常に困難であり、高い偽造防止効果があります。
ただし、既製品や三文判であっても、押印があるだけで「有印私文書偽造罪」というより重い罪に問われる可能性があります。
そのため、押印をしない場合に比べれば押しておいた方が法的な抑止力が働きます。
印章店が提案する「本当に安全な押印」とは?
- 唯一性が高く、複製が困難な印影を持つ
- 専門店によるオーダーメイドで作られた印鑑を使う
- 自社専用に管理され、第三者が安易に使えない仕組みにする
最後に

「法律上は押印不要」でも、偽造や改ざんのリスクから企業を守るためには、しっかりとした押印が今後ますます重要になります。
押印は単なる形式ではありません。
企業の安心や信頼を守るための大切な手段なのです。
印章店として、皆さまが安心して取引できるよう、押印の重要性について引き続きお伝えしていきます。