ちょっと前にネットではんこを斜めに押す的なニュースが流れていました。
特に金融機関では慣習的に行われているようで、ブログにも取り上げようと行員さんに聞いて確認しようと思っているうちに、すっかり忘れ去っておりました、、、汗
そんな中先日、実際に元大手金融機関に勤められていた方から実際の状況を、またさらに面白いお話も伺えたので書いてみたいと思います。
捺印は傾けるべきか?まっすぐ押すべきか?
一般の方にはあまり馴染みはないんでしょうかね?
大手の企業などでは、各担当者が枠で囲まれて、その下に捺印する欄があるんですね。
今回の話題はいずれもそれ。
この欄は左に行くほど偉い人なので、右側に押す人はいずれも若干左に傾けてお辞儀しているように見せるそうです。
まあネットでは社畜だなんだとボロクソ書かれていましたけど、個人的には気持ちはなんとなく理解できます。
捺印は自分の分身なんて言われますし、押す順番から考えても役職の下の人から押していきますから、上司の手元に渡る際少しでも気持ちが伝わるように傾けたくなるんでしょうね。
そしてそれが社内の慣習になれば、上から言い伝えられて必然になります。
そう考えると一概に否定はできませんよね?だってそれがそこのルールですから。
外からの意見は置いておいて、属している以上はそれに従うのが義務ですから。
ちなみに私自身は、捺印はまっすぐに押すべきと考えます。
理由は単純で、それが一番難しいからです。
毎回正確にまっすぐに押すのは至難の業ですが、だからこそ捺印に対する想い、つまり意思表示が相手にも伝わると思うからです。
私の知る尊敬する経営者の方は請求書がいつも恐ろしくまっすぐで、捺印やその契約を非常に大切に考えていらっしゃることが伝わるためとにかく優先的に、なんて気持ちも起こったりするもんです。
そして作り手としても常にまっすぐを意識し続けながら彫りますから、必然とまっすぐが正しいと思う側面もあったりします。
とはいえ正解はありませんから、あとは押す人の考え方次第。
いずれにしても適当に押しているよりは遥かに意味があると思いますので、ご自身の環境や考えにしたがって対応していただければと思います。
納得できない捺印は逆さまに押す
そんな中、今回「なるほどな」と思わされたのが以下のお話でした。
当時勤めていた金融機関の私の上司が、今となってはとてつもなく偉い方になられていますが、捺印を逆さまに押しているのを見たんです。
読みやすい認印ですし、普段からきちんとした方ですから、そんなミスを犯すわけがない。
なので理由を尋ねてみると、その捺印に納得していなかったことが分かりました。
これってどう思われます?
率直に「そんな手段もあるのか」と思いました。
誰しも納得いかないことはあります。
また組織に属していれば、往往にしてあるのは私も重々承知しています。
とはいえ、言われるがままに「はいはい」とは押したくない。
だからあえて反対の意思を示す方法として逆さまに押す。
印鑑の上下が違っているからって、意味合いは全く変わりません。
だからこそ、その場面を想像すると、結構苦しくなりますよね。
最後に
捺印は自分の意思の証明です。
つまり「認めた」ってことを公に示す行為です。
どんな押し方をしていても、法律上それ以上の意味はありません。
ただそれ以上に感じないといけないと思うのは、捺印の向きにすら意味を感じ取ろうとする人がいるってことです。
社内であれば上司が、社外であれば相手の社長が目を通します。
数ある文書の中でも相手の考えが端的に分かるのが捺印です。きちんと押してる会社はきちんとしているし、逆も然り。
見る人は本当によく見ているのが捺印です。日本においてはルールだけでなく文化としても根付いていますから、大切にされる方は本当に大切にされています。
馬鹿げてると一蹴するのは簡単ですが、その真意を考えるとなかなか深い真理も見えてきます。
だからこそどうせ押すなら正しく正確にありたいものです。
だってそれだけで評価が下がっちゃ、もったいないですから。