公式ホームページ

オンラインショップ

デジタルは本当に安全なのか?

考え

2026年10月21日の夜、高市首相がXで「PHPの修正プログラムを大至急入れてください。すぐに入れられないなら、サイトを一時的に止めることも有効です」と呼びかけましたね。
結構驚きましたよ。
だって首相が、プログラムの名前を出して注意喚起するなんてことは初めてじゃないですか?

ちなみに素人の私が言うのもなんですが、PHPとは、ホームページの裏側で動いている言語で、世界のサイトの7割ほどで使われているそうです。
このブログもPHPで動いています。
そのPHPに、10点満点で9.2点という危険度の弱点が見つかり、しかも直す前にその情報が外に漏れて、攻撃が始まってしまった。
国内でもpixivやニコニコ動画が、その夜のうちにサイトを止めたそうです。

IDとパスワードが流出したら大変ですもんね。
まあでも正直、最近この手のニュースが多いんで、最初「またか」って程度ではありました。
ところが首相がつぶやくほどですから調べていくと、なかなか厄介であることも分かってきました。

鈴印も、その2日前に違う形でやられていました

じつは鈴印のサイトも、この2日前の10月19日に侵入され、4つのサイトが同時に止まりました。
原因は、サイトのバックアップに使っていた道具(プラグイン)を作っている会社から、情報が盗まれたことでした。
その中に、鈴印のサイトを外から操作できる「合鍵」が入っていたそうです。
ただし、鈴印のログイン画面からは侵入されていなかったことは、補足しておきます。

詳しくはこちらに書きました。
月曜の昼、鈴印のサイトが全部止まった。Claudeに相談したら、全部解決した

つまり、こちらが悪さしてなくても、つながっている先がやられれば、こちらにも入られる。
デジタルの怖さは、ここだと思いました。

同じ週に、実際にお金が動いた事件

PHPの問題は「起きるかもしれない」話でしたが、その前日には「もう起きた」事件がありました。

10月20日、GMOの「お名前.com デスクトップクラウド」(FXの自動売買に使う貸しサーバー)で、お客様のサーバーに不正なプログラムが置かれているのが見つかったそうです。
影響があったかもしれないサーバーは、最大2万6,739台。
サーバーに保存されていたFX口座のログイン情報が盗まれ、実際に勝手な取引が行われたとか。
このとき管理者は、気づいていなかったそうです。

最近多い直感通り、この秋は、ほかにも続いています。

  • 宅配寿司「銀のさら」の運営会社:会員情報を預けていたサーバー会社が攻撃され、最大約650万件が流出したおそれ(10月13日公表)
  • カラオケの第一興商:委託先のパソコン1台が感染して、約872万件が流出したおそれ(10月8日公表)
  • IDCフロンティア(企業向けのクラウド):1社が攻撃されて、495の企業・自治体のサイトが止まった。茨城県や小平市のサイトも(10月7日)

パソコン1台で872万件。1社で495団体。
これ例えばですけど、泥棒が家に1軒ずつ入っていたとしたら、こんな数にはなりませんよね。

「スマホだから安全」という銀行

そして11月4日のニュース。
三菱UFJ銀行が2027年に開業するデジタル銀行「エムットバンク」は、キャッシュカードを発行しないそうです。
ATMではスマホのアプリでQRコードを読み取り、スマホのパスコードやアプリのログインで本人確認をする。
「カードと4桁の暗証番号より、認証が一段増えるので安全」というのが銀行の説明です。
大手銀行系では初めてで、ネットでは「物理カードの方が安全じゃないの?」という声も出ています。

その翌日の11月5日。
今度は三井住友銀行が、メール配信を任せていた会社から、お客様のメールアドレス約22万7千件が漏れたと発表しました。法人のお客様が中心だそうです。
暗証番号やパスワードは漏れていません。
それでも銀行は、銀行を装った不審なメールが届くおそれがあるとして、注意を呼びかけています。

自分のアドレスに、銀行を装ったメールが届く。
私のメールにも毎日届きますので、毎日正誤をチェックする余計な仕事が増えています。
でも正しいと信じて、IDとパスワードを入力してしまったら。
カードを持たない銀行では、そのIDとパスワードが、カードと暗証番号の代わりなんです。

それでも銀行は「認証が一段増えるので安全」と言います。
本当なの?

デジタルも、安全にはなっている

デジタルが安全か?アナログが安全か?

2026年の上半期、ネットバンキングの不正送金は約20億7千万円で、前の年の半分に減ったそうです。
理由として、スマホなどで本人確認を二段階にしたのが効いた、と報じられています。
三菱UFJのやり方も、この流れの上にあります。
それに、今のキャッシュカードだって、ATMに機械を仕掛けて中身を読み取る「スキミング」で、ずっと盗まれてきました。

だから「デジタルは危ない、カードは安全」とは言いきれません。

ひとつだけ決定的に違うこと

物理は、盗まれたら気づきます。
でもデジタルは、盗まれても気づかない。

例えば、財布からキャッシュカードが消えれば、その日のうちに止められます。
でも、お名前.comのサーバーに置かれた不正なプログラムは、持ち主が気づく前にお金を動かしていました。
三井住友銀行も、最初の報告では漏えいは確認されておらず、分かったのは追加の調査の後でした。
鈴印のサイトに入られたときも、サイトが止まるまで、私は何も知りませんでした。

もうひとつ。
デジタルは、遠くから、一度に、大量に盗めます。
パソコン1台で872万件は、その証拠です。
しかもスマホには、銀行も証券もカードもメールも、全部の鍵が1台に入っています。
鍵束をまるごと持ち歩いて、それを世界中から狙われている。
そういう状態ではないかと。

車と家は、今も紙と実印です

ここで、ふと思うわけです。
一番高い買い物って、どうやって契約してるんだっけ?

普通自動車を買うときや、名義を変えるときは、今も実印と印鑑証明書が必要です。
2021年に国が行政手続きのハンコを一斉にやめたとき、車の手続きでも大半のハンコは消えました。
ところが、新規登録・名義変更など、持ち主が変わる6つの手続きだけは、わざと残されたんです。
理由は「所有権に直接関わるので、厳格な本人確認が必要」。

不動産も同じです。
2022年の法改正で、不動産の契約は電子でもできるようになりました。
それでも、2026年6月の調査では、物件の契約で電子契約を使ったことがある人は26.8%。
売買を仲介する会社で、電子契約を使ったことがあるのは29.2%でした(2025年の調査)。
「できないから紙」ではなく、「できるのに、紙を選んでいる」。

最後に

紙と実印は、その場に来ないと盗めません。
無くなれば気づきます。
そして、手彫りの印影は、遠くからコピーできません。
機械彫りの印影はデータから同じものが作れますが、手で彫った一本は世界に一つだけで、同じものは彫った本人にも作れません。

デジタルが悪いと言いたいわけではないんです。
私自身、おそらく一般の人よりもデジタルを使い回していると思いますので。

言いたいことは、大事なものは、遠くから盗めない形で持っておく。
国も、不動産の現場も、結局そこに落ち着いている。
それが、印鑑がなくならない理由だと思っています。

いまだに「印鑑はもう要らないんでしょ?」と誤解されている方が多くいます。
このように、今でも印鑑は特に重要な契約のために必要とされています。
その事実を改めてお伝えする必要がある、昨今の出来事でございました。

今回のブログを書いていて、そういえばGMOは、いち早く「印鑑をやめる」と宣言していたことを、思い出しました。

手で彫る実印のご注文は、鈴印の印章オンラインショップからどうぞ。

出典:時事通信(PHP・首相の注意喚起)/GMOインターネットグループ(お名前.com デスクトップクラウド)/共同通信(三菱UFJのデジタル銀行)/日本経済新聞(不正送金半減)/国土交通省(自動車手続の押印見直し)/いえらぶGROUP(電子契約の利用率)

この記事に関連するショップ

印章オンラインショップ

今回のブログ、読んでみていかがでしたか?
ぜひ、下のボタンで教えてください。

一刀一刀に込められた技術と想いを、動画でご覧ください。
鈴印の「手彫り全行程」完全収録。

太陽と海と夏があればだいたいご機嫌な三代目。 日々「印」を通して、誰かの価値がちょっと上がるような仕事ができたらと考えている。 手彫りの美しさに惚れ込み、ブログでその魅力や違いを発信するのがライフワーク。 書くことも話すことも好きで、気がつけば毎日ブログを更新している。 ときどき印章の話から脱線するのもお約束。 趣味は筋トレと海と長距離ドライブ。

関連記事

公式ホームページ オンラインショップ
目次