どんな商品にも定番があります。
色々新しい商品が生まれては消えていきますが、そんな中不滅のベストセラーと呼ばれるのがそれ。
印章の世界に当てはめるとそれは、水牛と象牙です。
もちろん長く売れるには理由があります。
またそれぞれに個性があります。言い換えるなら特性ですね。
なので印章のベストセラー、象牙と水牛の違いをご紹介したいと思います。
2014年8月22日に公開したブログですが、2019年12月16日にリライトしました。
水牛と象牙は成分が全く違う点が1番の違い
水牛は爪と同じで、象牙は骨と同じです
水牛は爪と同じです。
いわゆる動物性タンパク質。
爪って指先の角質が硬化してできている、皮膚の延長の様な成分です。
そして水牛の角も同じく、水牛の頭の角質が硬化してできているため同じ成分です。
象牙は骨と同じです。
いわゆるカルシウムです。
人体を構成する基礎となる骨。そしてその中でも表面に出ている部分といえば歯。
そして象の牙も同じく、歯の進化ですから同じ成分なんです。
成分が違うから写りが違う
そもそもの成分が違うと、実は思った以上に写りに違いがあります。
極論を言えば、朱肉の油を水牛は弾き、象牙は吸い上げます
それぞれの成分を考えると分かりやすいと思うんですが、爪や皮膚って油を弾きますよね?
なので水牛は、朱肉の成分である「油」を弾きます。
感覚的なレベルではありますけど、印面に朱肉が乗ってるイメージです。
なので実際に押す時は、やや力を入れてしっかり押していただく様になります。
対して象牙は「油」を吸い上げます
こちらも感覚的ですが、朱肉の「油」が吸い付いてるイメージなんですね。
そのため朱肉の油を限りなく印面に乗せ、ほぼ全てを紙に転写させる事が可能になります。
象牙の紙への朱肉の転写率は、限りなく100%と言われております。
実際に押す際もそれほど力を入れなくても鮮明な捺印が可能です。
成分が違うから長く保管していて違いが出る
水牛も象牙もどちらも耐久性が高く丈夫な材料ですが、成分が違うため長期保存においては差が出ます。
例えば洋服に使われるウールやシルクも動物性タンパク質です。
そして動物性の繊維を使った洋服は、長期間着ないと虫に食われる事がありますよね?
最初に申し上げたように、水牛は動物性タンパク質です。
つまり水牛は環境によっては虫に食われる事があります。
上記の画像は欠けているワケではなく、虫食いです。
洋服の虫食いと同じ虫食いです。
硬さは全然違うんですけど成分が同じなので、同じ症状が起こる可能性があります。
ちなみに牙継材と呼ばれる、水牛と象牙のコンビ材があります。
それを引き出しにそのまま保管し、ある時出してみると以下の様な状態になっていました。
象牙側はなんともないのに、水牛側は至る所が虫に食われていたんですね。
これが水牛と象牙の一番大きな違いとなります。
ちなみに水牛の保管の際は、新聞紙を巻いておくと良いそうです。
新聞紙のインクに防虫成分が混じっていて、虫除けになるんですね。
最後に
とはいえ、水牛は必ず虫食いが起こるワケではないです。
むしろ認め印として毎日使っていれば全く問題ないレベルです。
ただ実印や銀行印ですと使用頻度は低く、かつ期間は何十年と長期です。
つまり長期保存しておいて、ある時必要になって出してみたら食われていた。
そんながっかりがない様に、お伝えいたしました。
以上の理由からお客様に「実印にするのにオススメってなんですか?」 とのご質問があった場合、鈴印ではこの様に回答しています。
「もしご予算が許すのであれば、実印には象牙がオススメになります。」