「朱肉とスタンプ台、どっちを使えばいいか迷ったことありませんか?」
実はこの違い、ちゃんと知らないと大事なハンコがダメになることもあるんです。
デスクや契約の場面には必ず、朱肉とスタンプ台の両方が置いてあります。
ところが実は、それぞれに相性があるんです。
先に結論から申し上げますと・・・

- 朱肉=印章(印鑑)
- スタンプ台=ゴム印
このように使い分けてください。
デスクに置いてあるものが、朱肉と&黒いスタンプ台ならなんとなく、朱肉は丸い印章(印鑑)を、黒いスタンプ台はゴム印を捺すものだと理解できると思います。
だけど迷うのが赤いスタンプ台だったりすると、どっち使えばいいの?なんてなりがち。
でもそれぞれに違う目的で作られていますし、極端な話、砂糖を塩を間違えちゃうくらい問題ですので、ご注意ください。
※この記事は、2021年3月25日に公開した内容を、2025年6月10日に最新情報へリライトしました。
朱肉とスタンプ台は違います

似て非なるものですけど、朱肉とスタンプ台は違います。
なぜなら上記の通り、朱肉は印章のために、スタンプ台はゴム印のために作られているからです。
ではまず、どのような目的で作られているかをお話しします。
朱肉は印影を長く正確に残すもの

朱肉のルーツは非常に古いんです。
誕生は今から約2000年前、印章を紙に捺すために開発されました。
ちなみに世界最古の印章は紀元前6000年頃で、朱肉の誕生までには2000年も差があるんですけど、その理由は紙です。
紙が発明されたのが西暦105年で、その前は封泥や粘土板に捺されていたため必要なかったんですね。
その頃から印鑑は大切なものとされていましたので、印影が滲まず、歳月を経ても変質や変色しないよう、油性顔料を使って作られてきました。
印章は柘植や象牙などの固くて油にも強い材料でしたから、相性が抜群だったんですね。
つまり印章を長く正確に残すため、油性顔料を使って開発されたのが、朱肉です。
ついでに書きますと、なんで朱肉は朱色なのか?
これは諸説ありますが
・1つは、朱肉が開発された古代中国では、金・銀についで貴重な「朱砂」を高貴な色とされていたから。
・2つ目は、朱色は血の色、そして血は神聖なものだから。
どちらも「大切な証」にふさわしい色だったということですね。
スタンプ台はゴム印の多様な用途に合わせるもの

非常に永い歴史のある朱肉に対してスタンプ台は比較的新しく、ゴム印の鋳造技術が確立した明治20年頃と言われています。
また朱肉との大きな違いは成分にあります。
油性顔料のみの朱肉に対して、スタンプ台は「水性染料」「水性顔料」「油性染料」「油性顔料」の4種類。
それぞれ、使い方や特性が異なるため、素材に合わせて選ぶ必要があります。
つまり、紙だけでなく、金属・布・革など、様々な用途に対応できるよう開発されたのがスタンプ台です。
間違えた場合の問題

ゴム印に朱肉を使った場合

朱肉は油性顔料です。この油がゴムには良くありません。
朱肉の油はゴムを溶かしたり膨張させ、変形させてしまいます。

角印などゴム印で朱肉を使ってしまうと、早ければ1年も持ちません。
耐油の黒ゴムを使うか、朱色のスタンプ台を使用しましょう。
朱色のスタンプ台は以下がおすすめです。
印章にスタンプ台を使った場合

反対に、印章にスタンプ台を使うと、特に「染料系」は印材に染み込みやすく、象牙などの素材が変色する原因になります。
一度変色した象牙は元には戻せません。
漂白する方法もありますが、印材を傷めてしまうためメーカーでは基本的に対応不可です。
そのため印鑑には必ず朱肉を使いましょう。
朱肉は以下がおすすめです。
最後に

以上が朱肉とスタンプ台の相性になります。
複雑な内容はさておき、基本だけ押さえておけば大丈夫です。
- 朱肉=印章(印鑑)
- スタンプ台=ゴム印
これを間違えてしまうと、あっという間に印を痛めてしまいます。
印章もゴム印も、会社の信用を背負った大切な道具です。
正しく使って、御社様のブランディングにお役立てください。