相変わらずネットにアクセスすると、ハンコ不要論の数々。
当然逐一チェックしていますけど、ずっと眺めているとある傾向が浮かび上がります。
1つはこれを機にいろんな意味で自分の所の利益を拡大しようとする勢力と、もう一方で、ハンコを捺すのが面倒だったり意味ないから不要って勢力。
それらが大きなうねりとなって不要って言われてるようですが、深く考えてみると結果的になかなか大変そうだなってことに気がつきます。
約束に大切なのは平等であること
まずハンコを捺す場面に共通するのは、契約です。
条件としてお互いが平等でなければならない。
でもハンコを不要にすると平等でない場面が増えてきそうです。
契約って言い換えると約束です。
それは家や土地や車などを購入する大きな約束から、役所に持っていく紙を誰と誰が受け渡したか、はたまたいつ誰がいくら払ったかなどの約束まで幅広くあります。
約束ってお互いに交わしますけど、言った言わないがあっては困るし、特にお願いする側にとってはより重要になってきますよね?
具体的には私が所属するとある会・・・
以前の文書の通知は基本的にFAXでした。
これは社長名で送られる物理的な紙は、必ず社長の机に届くという理由からです。
でも運営する理事に若手が増えてくると「今更FAXかよ!」って意見が続出するようになります。もちろん私もそっち側。
今はメールが当たり前で、LINEならもっと簡単じゃん?ってデジタル化が進んでいきます。
ところが一方でデジタルが苦手な人間も中には当然出てきます。
すると「見てない」「聞いてない」の必殺技が炸裂します♡
まあ普段の何てことはない資料は別にそれでもいいんです。
でもそれじゃ困る重要文書も存在します。何か?
そう、会費の請求書です。
これは確実に相手に届かないといけない。
メールやLINEでは相手に確かに届いたか確信が持てない。
そのため、直接手渡しか郵送になります。
もちろんそこには正式に発行した証として角印が捺されています。
お支払いいただいた場合は当然、角印が捺されている領収書を発行します。
つまり重要な約束は、確実に相互でしっかりと意思の確認ができた証拠が必要になります。
ではこれを電子契約にした場合どうなるか?
火を見るより明らかです。
メールが届かない人に電子契約は結構辛いと思います。
秘密鍵と公開鍵?
なんだそれ?
何がなんだか分からなければ、滞るばかりなのが想定されます。
だってよく分からないから、いやだは当然の感情です。
これは送り手と受け手の条件が平等じゃない状態と言えます。
物理的に成立している云々の問題以前に、双方が平等に理解をしているからこそトラブルが避けられるのが約束です。
ハンコを作って捺すのが面倒な方にとってはきっと、ハンコ以外の選択肢の方がよほど面倒です。
日本人にとってサインは再現不確実ですし、電子契約は仕組みが複雑。
ちなみに私自身も今、Adobe Acrobatが1週間立ち上がらず、自己証明書のpdf発行に四苦八苦、、、汗
今は過渡期と言われていますが、一番簡単なのはハンコであることは間違いないようです。
それは政府発表の見解にも現れています。
最後に
約束って、お互いにはっきりとした意思の確認と証拠が必要です。
これまでは約束の重要度によって使うハンコが違いました。
重要な約束は実印を捺すし、簡単な場合は三文判と。
今言われているのは三文判をなくそうって動きです。
そしてその先どこまで電子で成立するか?の議論も起っています。
でも約束は平等である必要があります。
私も含めてなんでこれっぽっちのことでハンコが必要なの?って思うことも多いです。
その理由がこの線引きですね。
何が重要で何が重要じゃないかは、揉めてみないと分かりませんから、法的に一番信頼性の高いハンコをとりあえず捺す。
それが今後デジタル化によって混在していくようになると思います。
仮に全部電子契約になって連帯保証人まで電子になったら、ワケが分からないウチに一瞬で破滅の一途と辿ってしまいます。
物理的な紙にハンコを捺すか捺さないか?
平等かつ最も分かりやすいルールです。