久々にお宝をご紹介致します。
個人的にも思い入れが強く、あまり積極的に販売したくないのもその理由です。
メーカーでも限定で50本しか製造されなかった象顔王(ぞうがんおう)
ただ密かに眠らせておく方がもったいないと思い、今回公開を決意しました。
2022年12月5日に公開したブログですが、動画を追加し翌6日に再投稿しました。
象とマンモスと18金を組み合わせた象顔王
とにかく見た目の迫力に圧倒されてください。
しかも品質に関しても、最高級の素材(象牙+マンモス+18金)を贅沢に使用しています。
それでは1つ1つ細かく見ていきましょう。
マンモスの牙に、象を彫刻したリングが備わっています
まずは象顔王の象徴とも言える、象の彫刻。
彫刻部分の素材はマンモス。
カルシウムだからこそ、ここまで細かい彫刻を可能とします。
ちなみにマンモスと象の見た目の大きな違いは、牙の角度。
丸く反り返っているマンモスに対して、緩やかなカーブを描く象。
私自身この圧倒的な見た目に一目惚れし、購入した経緯がございます。
ちなみに現在は、ここまで細かい細工ができる職人さんはいなくなってしまったそうです。
印材の品質は象牙極上
見てください、このツルっとしたキメの細やかさを。
印章の良し悪しを決めるのは、なんと言っても印材です。
どれほど立派な装飾が施してあろうが、印材が並では「中身が薄っぺらくて顔だけ」なんて言われてしまいそうです。
その点見た目にも負けない中身を持つのが象顔王。
印材の品質は極上ですから、最上の捺印を可能とします。
マンモスと象牙を繋ぐのは18金
象顔王を後ろに回すと、中央に金色の鋲が見えます。
こちらが18K。
象牙の極上に、なかなか見ることができないここまで綺麗な極上マンモス。
それを繋ぐのが18Kとは、まさに贅沢の極みですね。
象顔王入手物語
そんな象顔王ですが、私個人的に思い出深い記憶と共に、手元に残っています。
今から約20年前でしょうか?正確な時期は忘れてしまいましたが、その時は私が初めて展示会に一人で行った時でした。
通常展示会って両親と一緒に行って、買い付けが目的でした。
普段はあまり見ることのできない印材などが展示され、鈴印の「マスターピース」の中には、その時に出会ったものも多数あります。
それにも関わらず一人で行ったのは、確か親父が盲腸の手術で入院してたからなんです。
鈴印に入社して間もなく、自社のストックすらよくわかっておらず、また現在のマスターピースのように貴重な印材との巡り合いなどもピンときていませんでした。
元々一人で出かけるのも好きでしたから、逆に自由に好きなものを見られてラッキーくらい。
そんなワクワクした気持ちで見て回ると、今までとは違った視点で商品などが見られるようになりました。
あちこちのブースを見て回ったその瞬間「なんだこれは!」と目に飛び込んできたのが象顔王でした。
若かりし頃はクロムハーツやガボールなどの繊細かつゴツいド派手なアクセサリーを好んで身につけていましたから、この印材には運命すら感じました。
多分親父は良しとしないような予感もあったんですが「絶対に売れる!」そんな核心と共に、全件委任とばかりに勝手に購入してしまいました。
帰宅し、興奮さめやらぬうちに入院する病院に向かい、見せてみました。
すると・・・
「ダメだダメだ、ウチのテイストじゃないし、そもそもこれじゃ俺が彫れないだろ」
良しとしない予感はドンピシャでしたw
実はこの印材は彫刻スタイルを問う印材だったのですが、ちょっとした反骨心と自己顕示欲で購入した理由もありました。
こちらのブログやHPのトップで彫刻している動画を流していますが、それは親父を真似した彫刻方法です。
「はさみ木」と呼ばれる木に挟んで彫るスタイル。
体が起きてカッコいいので、鈴印に入社してから練習してマスターした彫刻方法。
その場合ですと、彫刻のリングが邪魔で「はさみ木」に挟めないんです。
リングが大きくてしっかり挟めないため、力を入れて彫り込めない。
もちろん「はさみ木」を加工すれば可能ですけど、親父がそこまでやるはずはない。
対して私は修行時代に学んだのは、篆刻台に挟んで彫るスタイルでした。
これなら問題なく彫れます。
つまり「親父じゃ彫れないけど、自分なら彫れる」そんな顕示欲も密かにありました。
まあ当然、社長の快諾を得なければなかなか積極的に取り扱ってもらえず、結局日の目を見ないで奥にしまわれてしまったんですね、、、涙
今となっては懐かしい思い出です。
ケースはKFワニの特注品
これだけ幅の広い特殊な形状の印材ですから、規格のケースなどあるはずもございません。
メーカーさんもケースを作ると高くなるからでしょうか?専用のケースはありませんでした。
そんな場合でも日本で唯一の手作りの職人さんなら可能です。
印材に合わせて木をくり抜いて作ってくれますから。
完成して拝見し驚きました。
寸分違わぬケースだったのですから。
それは印材が収まる部分だけでなく、蓋にまで及びます。
鶴亀の側に凹みがあるのが見て取れます。
これが象の細工の形状に見事に合致していて、中で動いたりすることもなく、印材を優しく包み込みます。
蓋側の土台にまで細工が施せるのは世界広しといえども、KFさんだけではないでしょうか?
いやはやケースまで圧巻です。
最後に
見た目の圧倒的な存在感だけでなく、職人さんの技術の推移の結晶で完成した象顔王。
つまり今後制作されることはあり得ないと言っても過言ではございません。
決してお安い商品ではありませんが、入手当時の金額で設定していますので、マスターピースの中では比較的にリーズナブルな価格となっています。
他にはない価値。
使い手を選ぶアイテムかもしれませんが、好きな人にはたまらないはず。
もし私と同じように一目惚れされたのであれば、迷う必要はありません。
なぜならあなたにこそ、象顔王を扱う価値があるから。