以前ご紹介しました象牙の喧嘩札ですが、今回お客様のご快諾を頂きまして、作業工程をご紹介させて頂けることになりました!
ま、なんとなく気楽に受けちゃったんですけどね、作るのが想像以上に大変で、もうやるのやめようかな〜なんて思ってます♡
実はですね、当初の予定ではそもそもワタクシが作る気などさらさらなく、以前ワタクシの喧嘩札を作って頂いた中原印房の中原さんにお願いしちゃおうかな〜なんて考えておりました。
ところが・・・
中原さん「鈴木さん彫るんでしょ?」
ワタクシ「えっ?」
で、ワタクシが彫る事になりました♡
象牙の喧嘩札作業工程
今回の喧嘩札を作りにあたって「せっかくだから文字意外に家紋とか、シンボルマーク的なモノも一緒に入れませんか?」ってご提案致しました、が・・・
まずそこからが大変
家紋データの作成
まずはお客様からデータを頂きます。
ハンコはモノクロですから、まずモノクロにしなければなりません。
それにデザインが浮く様に周りを彫るのか、それともデザインを彫るのかもお打ち合わせ。
今回の場合は、白い部分を彫った方がデザイン的に美しいと思ったので、その方向で進みました。
上記のままだと逆になってしまうので、今回は白黒反転
このデータを元に、文字と組み合わせて彫刻の元デザインとなる「版下」を作ります。
それがこちら
ここまででデータの完成。
彫刻作業
さてさて難関は続きます。
まずは象牙の喧嘩札を
最初レーザー加工機でざっくり彫るんですが、これがよく見ますとね
側面が上に向かってすぼまり、要するに平らじゃないんです。
レーザー加工機は平面に対して有効ですので、材料をクランプで挟んで強制的に平らにします。
これも真っ平らじゃないと彫った底が斜めになってしまいますから、頑張って真っすぐに調整します。
そして最初別のいらない材料で何度も試し彫りをし、位置や深さや彫刻スピードを調整。
きっちり理想の出力の数字を見つけて、いざ彫刻開始!
完璧☆
このままだと彫りカスも残り、見た目にも美しくないので綺麗にします。
まず洗います
これで大まかな汚れは落ちますが、まだまだそんなモンじゃ納得できません。
なのでこっからはワタクシの本職
彫ります
黒ずんだ部分を全部綺麗に落とします。
そしてここから色を入れていくんですが、何しろ細かい作業ですからね、慎重に慎重に塗っていきます。
ま、よく考えたら細かい作業って得意中の得意ですからね、楽勝・・・
って思いきや、彫るのと塗るのとじゃ大違い!
四苦八苦しながらもコツを掴み、慎重に慎重に進めます。
まずは家紋の部分ですね。
次に文字の部分
肝心なのは、一度に厚く塗らない事でした。
一気に重ね塗りしてしまうと乾燥の途中で中に空気が入り(iPhoneとかの画面に貼るフィルムみたいなイメージ)見た目が美しくないですからね。
薄く塗っては乾かし、塗っては乾かしを、厚みを見ながら繰り返します。
そうしてじっくりじっくり時間を掛けて重ね塗りをして出来上がったのがこちら
この艶っとした底が一番のこだわりの部分。
なかなか塗りでこの艶感を表現するのは難しいんですね。
とまあ、最初から最後まで新しさと難しさへのチャレンジでしたけど、実際とっても楽しかったです!
やっぱ何事も新しいチャレンジは新鮮で楽しいモンですね。
それに「文字」と「彫り」の組み合わせの新たな方向性も見えましたしね!
「文字」と「彫り」の可能性は無限です。
また今後新たな可能性に挑戦しつづけて参りたいと思います。
次なるご提案にどうぞご期待下さいませ。
まずはご注文頂いたみなさま、心よりありがとうございました。
詳しくご指導頂いた中原さん、心よりありがとうございました。
そして諸事情によりまだ完成していないみなさま、ご迷惑をお掛しており・・・すみません♡
反省してないだろ♡