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ハンコの彫り直しは首をはねるのと同じだから縁起が悪い?

  1. 手彫り
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ご存知の方も多いかもしれませんが、印章(ハンコ)は彫り直すことができます。

まずはじめに、印章の彫り直しについて、よく耳にする疑問をご紹介します。
「ハンコを彫り直すのは縁起が悪いのですか?」
「首をはねるのと同じで、良くないと聞いたのですが、本当ですか?」
というご質問です。
このブログでは、そういった疑問に答えつつ、その由来にも触れてみます。

2017年2月24日に書いたブログですが、2022年3月12日に、また2024年5月10日に再度リライトしました。

ハンコの彫り直しは首をはねるのと同じだから縁起が悪い?

結論から申し上げますと、印章の彫り直しと縁起の良し悪しは全く関係ありませんのでご安心ください。

そもそもハンコの彫り直しが縁起が悪いとされるのは、その考えが1970年頃に広まったとされていますが、実際には印章を彫り直して問題が起きたという話は聞かれません。
私たちの経験上も、創業より彫り直しを推奨しており、職人時代にはそのような迷信を耳にすることもありませんでした。
もし印章が人体に例えられるとするなら、「首」ではなく「足」ではないでしょうか。

多くの印章職人や長く印章に携わる方々は、印章の彫り直しをむしろ正統な方法と捉えています。
実際、先代の印を継承することは素晴らしいこととされています。

印章の「彫り直しは首をはねる」と言われ出したのは印相と関係がある

では、なぜ「首をはねると同じ」という表現が生まれたのでしょうか。
それには、印相学という易と印章を組み合わせた考え方が関係しています。

印相学は、印章に対する新しい文化を創造しようとする過程で、既存の篆書との差別化を図り、「この印鑑は印相が良くない」といった風潮が広がったのです。
彫り直しは、印章にヒビが入るリスクを伴うこともありますが、それを避け、新しい印を作ることにつながるとされています。

私自身の経験では以下のようなことがありました。
とある有名なそのような印鑑を扱う易者の方がご来店。
豪快に笑いながらこんな風に話されました。

「あんなのインチキだから。だから私は自分の印はこちらで作るんです。
だって一番縁起が良い印って、結局こちらの印ですからね。」

縁起が良いかどうかはわかりませんが、なかなか強烈なインパクトのある内容でした。

最後に

印章にまつわる迷信や俗信に惑わされることなく、大切にされていた印章を継承し、その価値を認識することが重要です。
「困った時は、どこかの神様よりご先祖様」という言葉があるように、先代が大切にしてきた印章には、特別な想いが込められています。
それを引き継ぐことによって、その価値をさらに高めることができるでしょう。

以上が、「ハンコの彫り直しは首をはねるのと同じだから縁起が悪い?」という話についての見解です。
先代が大切にされてきた印章なら、その想いと共に引き継いでください。
このブログが、皆さんの不安を少しでも解消する助けになれば幸いです。

またもしお手元にそんな印がありましたら、以下のブログを一度ご覧ください。

鈴印

〜印を通してお客様の価値を高めたい〜

鈴木延之
代表取締役:株式会社鈴印

1974年生まれ。
A型Rh(+)

1932年創業、有限会社鈴木印舗3代目にして、現プレミアム印章専門店SUZUIN代表取締役。専門店として、印章(はんこ)を中心としたブログを毎日発信。本業は印章を彫る一級印章彫刻技能士。
ブログを書き出したきっかけは、私の親父が店頭で全てのお客様に熱く語っていた印章の価値や役割そして物語を、そして情報が散見する中で印章の正しい知識を、少しでも多くのみなさまに知っていただきたいから・・・
だったのに、たまに内容がその本流から全く外れてしまうのが永遠の悩み♡

一級印章彫刻技能士
宇都宮印章業組合 組合長
栃木県印章業組合連合会 会長
公益社団法人全日本印章業協会 ブロック長

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