印章の困りごとで特に多いのが「写りが悪い」
特に角印など大きめの印は、それが更に顕著に表れます。
「毎回角印押すのが本当に苦手で」
なぜ角印になると苦手な人が増えるのかって言うと、サイズの大きさと、四角い形状が原因です。
ちなみに印章って直径が小さい方が押しやすいのは、なんとなく想像がつきますか?
例えば訂正印などは力で押し込んじゃえば、表面が綺麗に処理できていなくても、面積が小さいんで押せちゃうんです。
逆を返すと、大きいと力で誤魔化せない。
だから苦手な人が増える。
でも私たちが手で彫った角印は、誰が押しても綺麗に写ります。
じゃあなぜそんな違いが出るのか?本日はその理由をはっきりさせましょう。
2017年8月9日に書いたブログですが、2019年10月19日にリライトしました。
角印が綺麗に押せない原因は印面にあり
全ての印に共通するんですけど、綺麗に押せるか押せないかは、彫る前からもう決まってるんです。
まず綺麗に押せる理想を言いますと
- 印面が真っ平ら
- 紙が真っ平ら
- 捺印マットなどの土台が真っ平ら
まあこんなイメージで、全てが真っ平らだと綺麗に押せます。
なので逆にどれかが歪んでいると、そこだけが押せないってコトになりますね。
では具体的に押せない原因をご紹介しましょう。
一部がかすれる原因は印面調整が足りないから
一見綺麗な平らに見える仕入れた段階の角印の印面。
でも実はかなり表面は荒く、それの荒さが捺印に影響してしまいます。
では試しにこのままの状態で朱肉をつけて押してみましょう。
ね!
ザラザラで綺麗に写らないんですよ。
だからこの状態で彫っても・・・
これ以上は言わなくても分かりますね?
そしてこうならないために私たちはきっちりと印面を平らにします。
とくさと呼ばれるサンドペーパーみたいな道具を使って、何度も何度も繰り返し位置を変えて平らにしてきます。
そして徐々に番手を細かくしていって、最終的にはツルツルになるまで磨き上げます。
すると今度は・・・
ここまで綺麗になります。
この1工程が、大きな差になるんです。
原因2.印面調整の技量
あとよくあるのが、角がよく写らないパターン。
これも原因は印面調整。
この印面調整ってとっても難しいんですよ。
私も職人時代はなかなかできなくて、散々怒られたモンです。
人によってやり方は様々ですけど、私の場合はぐるぐる回して平らにするんですけど、その際に水平に動かせないとカドにテンションがかかって、カドだけ削れちゃうんですね。
分かりますかね?カドが落ちちゃってるの。
これを押すと、当然角は写りません。
最後に
角印の場合、手彫りと機械彫りの一番分かりやすい差ってコレかもしれません。
だって誰でも押せば分かるから。
まあこの印面を調整する機械なんかもあって、実際に試してみましたけど・・・ですね♡
やはりこの印面調整に関しては職人の経験に勝るものはないんです、残念ながら。
同じ角印でも安いものから高いものまで色々あると思います。
そしてそれぞれにやはり明確な違いがあるんですね。
この角印の写らないのは大変です。
毎回毎回血管浮かび上がらせながら、全体重を乗せて渾身の力を込めて押さなきゃならない。
「じゃあこの領収書に角印押しといて」って渡されて、繰り返すことの50回。
もう腕がだるくて、そのあと仕事になりません。
いつも言ってますがちゃんと彫れている印は、誰でも簡単に綺麗に押せます。
だって私たちはそれを目的に彫ってますし、全て捺印テストも行なっています。
だから押すのにテクニックも力も必要ないんです。
捺印で腕を鍛えたいって方は別ですけど♡
あっ、そうそう。
毎回渾身の力を込めて押していたら角印にかかる負担も大きいですから、摩滅や枠の欠けなどもとっても早いっすよ!
どうやったらより綺麗に押せるか?
どうやったらより長持ちさせられるか?
私たちはそのノウハウを知り尽くした上で、毎日彫っています。
だから押した瞬間に違いが分かるんです。
過去に捺印で苦労されていた方ほど驚きが隠せません。
「角印ってこんなに綺麗に押せるんですか?」
綺麗に押せると、今度は押すのが楽しくなります。
今まさに角印が押せなくてご苦労されているあなた。
驚きの体験をしてみませんか?