印鑑を選ぶ際に、手彫りと機械彫りでどれほどの違いがあるのか、疑問に思ったことはありませんか?
ある日、こんなご相談を受けました。

イメージです
実際にその印鑑を見てみると、上の写真のように写りが悪く、文字がはっきりと見えない状態でした。
このお客様は、機械彫りで作られた印鑑を購入されたようで、価格が安かったとのこと。
そこで今回は、手彫りと機械彫りの違いがどのように印鑑の写りに影響するのか、詳しくお話しします。
2015年1月8日に公開したブログですが、2024ねん8月15日にタイトルと共にリライトしました。
手彫りか機械彫りかで、印鑑の写りに違いは出にくい
そもそも象牙や水牛などの天然素材は、手彫りと機械彫りで印影に差が出やすい材料です。
なぜなら天然素材はその性質上、仕入れた段階では微妙な変形があるからなんです。
例えば、水牛の素材は中心に小さな穴が開いていることがあります。
これが印面に影響し、印鑑の写りに差が出る原因になるのです。
またものによってはさらに激しく凹んでいる場合もあります。
ここからは少し想像していただけたらと思うのですが、もしこのままで文字を彫り込んだらどうなると思いますか?
当然、文字を彫る印面の穴は開いたままですし、凹みは凹んだままですから、写るはずがありません。
象牙も同様です。
一見平らに見える印面も
表面を平らに削っていくと
削れて艶が消えている箇所と、削れず光っている箇所が現れ、平らじゃないことがわかります。
このように仕入れたままの天然材は、ほぼ全て印面にゆがみがあります。
そのまま彫ると、手で彫っても機械で彫っても綺麗に写りません。
つまり手彫りか機械彫りかで写りの差が出るのではなく、この印面を平らにする工程が最も重要です。
印面がきっちりと平らな状態で彫った印は、手彫りだろうが機械彫りだろうが写りは綺麗です。
そして人工材であるチタン印鑑は、表面が真っ平らであるため、機械彫りでも美しい印影が得られます。
平らな印面と平らな紙、この2つが揃うことで、どんな方法で彫られた印鑑でも綺麗に写るのです。
鈴印のこだわり:表面の平滑さが美しい印影を生む
「鈴印さんの印鑑はいつも綺麗に写る」とお客様からお褒めの言葉をいただくことが多いですが、その理由は「手彫りだから」ではなく、「表面を平らに仕上げているから」にあります。
冒頭のご質問にあった「手彫りじゃないから写らない」のではなく、表面が歪んだ状態で彫っているから写らないことになります。
綺麗に写るかどうかは、印鑑の知識を活かした専門知識
手彫りの最大の利点は、彫り手が印影の特性を深く理解していることです。
どんな素材でも、その特性を最大限に引き出し、美しい印影を作り出すことができるのは、この知識と技術があるからこそ。
鈴印では、天然材だけにこだわらず、あくまで「綺麗に写ること」を最重視しています。
ちなみに先ほどご紹介したチタン印も、以前は滑って綺麗に写らないものが多かったのです。
それが現在取り扱っているチタンに限っては驚くほど綺麗に写り、チタンもここまで来たのかと感動し、それから取り扱いをはじめた経緯がありましたことを補足しておきます。
最後に
結局、手彫りか機械彫りか、天然材か人工材かというのは一つの要素に過ぎません。
大事なのは、その素材の特性を理解し、最大限に活かすプロの知識と技術です。
だからこそ、印鑑選びは慎重に、そして信頼できる専門店での購入をお勧めします。
ぜひ信頼できる専門店で、確かな技術と知識に裏づけられた印鑑をお選びください。