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印章を彫る刃物を研いでいるところ

  1. 手彫りと手書き
  2. 246 view

たまには職人らしく、こんな動画をご覧ください。

印章を彫る刃物を研いでいる動画

印章を彫る上で最も基本的な作業であり、かつ最も地味な作業。

ちなみに私の親父が修行をしていたころ、最初の作業がこの刃物を研ぐ・・・砥石を研ぐ。
砥石にも状態によって、荒砥・中砥・仕上げ砥と3種類を使い分けるんですけど、研ぎ続けると砥石も歪んできます。
すると平らに研げなくなっちゃうので、砥石も研ぐ。
これが本当地味で、かつ退屈で、手も痛くなっちゃいます。
でも絶対にやらないといけない作業です。

それができるようになってようやく次のステップの研ぎに進めるんですけど、これが本当難しい。
人間の腕の動きは普通に動かすと前後しちゃいますから、刃が丸まっちゃうんですね。
なので水平を意識した手の動きを繰り返さないといけない。
しかも同じ角度をキープし続けるのって、かなり辛い作業です。
荒砥→中砥→仕上げ砥と順番に細かい砥石を使い、失敗しては中砥からやり直し的なことを毎日繰り返しました。

そうしてようやく自分だけの刃物が完成します。
って言っても職人時代は恐ろしいほどの本数を彫っていましたから、毎日刃物がダメになる。
なので毎日研がないといけないんですけど、調子が悪いと研ぐほどに切れ味が落ちていく、、、涙
今日は研ぐか?それともやめるか?その匙加減も悩みどころだったりします。

ちなみに今では素材ごとに刃物を使い分けています。
木と角と牙では硬さや刃触りが全く違うので、それに応じた刃物と角度を自分なりに見つけ、それを使用。

角度がちょっと変わるだけで、研ぐのは難しくなります。
また象牙用は特に丈夫な、親父から譲り受けた刃物を使用しているんですけど、丈夫なだけに硬い。
硬いと研ぐのが、これまた驚くほど難しい。
しなりがないんで完璧な動きでしか許されない、まさに伝家の宝刀。

そんな表に出ない地味な積み重ねがあって初めて、印章って彫れるようになるんです。

最後に

ハンコを彫れる職人が少なくなっている理由は、これも1つの要因かもしれません。
あまりに地味で、かつマスターするのに驚くほど時間がかかる刃物の研ぎ。
そしてこれができないと仕事にならない辛さ。
ちなみに私は不器用なんで、かなり苦手でした。
なので時間と数を他の人よりこなさないといけない感じでしたね。

ちなみになぜ今こんな動画を撮ったかって言いますと、久々に最高の切れ味の状態で挑みたい素材のご注文をいただいたからです。
研ぎ澄まされた刃物は、彫り手のモチベーションを最大にあげてくれます。
そのテンションMAXの状態で、彫っていきたいと思います。

 

 

鈴印

〜印を通してお客様の価値を高めたい〜

鈴木延之
代表取締役:株式会社鈴印

1974年生まれ。
A型Rh(+)

1932年創業、有限会社鈴木印舗3代目にして、現プレミアム印章専門店SUZUIN代表取締役。専門店として、印章(はんこ)を中心としたブログを毎日発信。本業は印章を彫る一級印章彫刻技能士。
ブログを書き出したきっかけは、私の親父が店頭で全てのお客様に熱く語っていた印章の価値や役割そして物語を、そして情報が散見する中で印章の正しい知識を、少しでも多くのみなさまに知っていただきたいから・・・
だったのに、たまに内容がその本流から全く外れてしまうのが永遠の悩み♡

一級印章彫刻技能士
宇都宮印章業組合 組合長
栃木県印章業組合連合会 会長
公益社団法人全日本印章業協会 ブロック長

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