「ゴム印にスポンジって本当に必要?」
普段はあまり意識されないかもしれませんが、実はゴム印の構造には細かな工夫が詰まっています。
中でも「スポンジ」は、持ち手とゴムの間に挟まれているパーツで、捺印の綺麗さや押しやすさを左右する、意外と重要な存在です。
しかもこのスポンジ、すべてのゴム印に付いているわけではありません。実はサイズや用途によって「必要なケース」と「不要なケース」があるのです。
鈴印では、創業から90年の経験をもとに、スポンジの有無や厚みを印面ごとに最適化してお作りしています。
この記事では、なぜスポンジが必要なのか、そしてスポンジなしでも大丈夫なケースとはどんなときか──専門店の視点でわかりやすく解説します。
※本記事は2019年1月23日に公開した内容を、2025年7月1日にリライトしたものです。
ゴム印の基本構造は「持ち手+スポンジ+ゴム」

たとえば「住所印」と呼ばれる、社名や代表者名、住所、電話番号がまとまったタイプのゴム印。
鈴印では、上の写真のように、持ち手・スポンジ・ゴムの3層構造でお作りしています。
素材には、持ち手にアクリルや木、印面には天然ゴムや樹脂などが使われます。
ただし、このままでは綺麗に押せないこともあり、その間に「スポンジ」を挟むことで弾力のバランスを整え、押しやすくしています。
スポンジはサイズによって厚みを調整

スポンジの役割は、最適な押し心地を実現すること。
たとえば「氏名印」のような小さなサイズのゴム印には、スポンジを使わない方が力が伝わりやすく、きれいに押せます。

一方で、住所印などやや大きなサイズには、厚さ1.5mmのスポンジを標準採用しています。
1mmでは薄すぎて中央がかすれやすく、2mmでは柔らかすぎて押しムラが出やすいため、バランスの取れた厚さとして1.5mmを選んでいます。
さらに4×4cmを超えるような大型印では、スポンジの厚みを変えたり重ねたりしながら、実際に捺印テストを行ってベストな厚さを探ります。
代を継いだ頃、私が「2mmを2枚重ねた方が良いのでは?」と父に尋ねたとき、返ってきたのはこんな言葉でした。
「それじゃ厚すぎて真ん中が写らなくなるぞ」
── 実際に試すとその通り。わずか1mmの違いが印影に大きく影響することを身をもって学びました。
スポンジは交換も可能です
ここまでご紹介してきたのは、標準的な使用環境を想定しています。
ですが、たとえば工場などで力強く押す必要がある場面では、目的に応じてより厚いスポンジを使うこともあります。
また、使用者の押し方や癖によって、スポンジが潰れてしまうことも。
その場合も、鈴印ではスポンジ部分のみの交換に対応しております。
ただし、社外品など構造によっては交換できないこともありますので、まずはご相談ください。
「写らない…」の原因は、スタンプ台にあることも
「ゴム印が写らない」とご相談を受けることがありますが、原因の多くはスタンプ台の劣化です。
あるお客様も「3年前に買ったゴム印が写らない」とおっしゃっていましたが、スタンプ台を交換しただけで、驚くほど綺麗に押せるようになりました。
私たちが目安としている耐用年数は、ゴム印が約10年、スタンプ台が約5年です。
スタンプ台も、適切なものを使えば印影の美しさがまるで変わります。鈴印でおすすめしているスタンプ台はこちらです。
インクを補充して使い続けることも可能ですが、薄くなってきた時点でスタンプ台ごと交換してしまう方が、ストレスなく快適です。
最後に ─ 使用環境に応じて調整します
ゴム印は、使う人や環境によって「最適な状態」が変わる繊細な道具です。
鈴印では、細部にわたってこだわり抜いた設計をしていますが、それでもお客様によってベストな仕様は異なります。
「以前より写りが悪くなった」「押しにくくなった」など、少しでもご不便を感じた際は、ぜひお気軽にご相談ください。
現物をお持ちいただければ、その場で原因を特定し、最適なご提案をさせていただきます。
また、捺印のコツをまとめた過去ブログもありますので、併せてご覧ください。