鈴印ではかなり希少価値の高い1点ものばかりを集めたマスターピースをご用意しています。
一方で、「純粋に品質で最高級なものはどれなのか?」
そんなご意見も耳にします。
純粋な最高級は、鈴印サイト印章具にも載せている「極上」になります。
「極上」は、ご注文後に切り出しますので、今後もある程度はご用意できます。
もちろんそれに見合う品質であるかどうかは切ってみないと分からず、そのため多少お時間をいただく場合もございますが。
それらのお話を総合しますと、やはり良いものを探されている方が多いことがわかってきました。
なので「民生」や「横目」などの、特に変わっているものではなく、スタンダードでかつ最高峰で揃えたパッケージをご用意しました。
象牙(極上)共鞘、KFワニ革ケース牙蓋付き印
先月の創業祭は鞘付きを多くご用意しましたところ、おかげさまで想定よりも多くのご注文をいただくことができました。
その際に「極上で鞘付きはないのでしょうか?」とのお問い合わせもございました。
また別件ではありましたが、KFケースに付けられる象牙の蓋、通称『牙蓋(げぶた)』は今でも手に入るのかのお問い合わせも多くいただいています。
実際に「極上」の印材はそれだけでも数が少なく、常にストックがあるわけではございません。
また同様の理由から、共材と呼ばれる同じ極上から取った鞘はさらに希少性が高まります。
牙蓋に関しては、作れる職人さんがいなくなってしまったため、本当に数は限られています。
ですが、多くのご要望もいただきましたので、こちらに掲載させていいただきます。
こちらに限ってはその都度の対応になり、もしかするといきなりソールドアウトになってしまう可能性もございますこと、あらかじめご了承ください。
では次に極上材の特徴をご説明いたします。
極上材の特徴
象牙は中心に近づくほど、きめが細かく希少価値が高まっていきます。
それを鈴印では中心から「極上・特上・上上・上・中」として区別しています。
図をご覧いただくとお分かりになるように、芯に近い箇所に「特上」とありますが、それよりもさらに中心に近い部分が極上になります。
今では象牙自体が貴重になってきていますから、極上が希少なのは明白です。
また象牙は個体差もあり、いくら中心に近くても鈴印品質で極上に達しないものがほとんどです。
さらには象牙自体、硬くて貴重なハード材と、ある程度入手可能な柔らかいソフト材に分かれるため、ハード材の極上はどこでも入手できるほど流通していないのが現状です。
人によってはなぜ象牙の価格はお店によって差があるのか、疑問に思われる方もいらっしゃいます。
まず大きな違いが、ハード材かソフト材かです。
ハード材はその名の通り硬いんです。
そして種類が少ない。
そもそも象の牙の目的は、木を倒すこと。
また赤道直下の熱帯雨林では木が太く大きい。
そのため牙も硬い必要があるんですね。
硬いということは、密度が高い。
密度が高いから、身が詰まっている。
それが見た目の重厚感にも繋がり、ハード材独特のなんともいえないまろやかな艶が出てくるんですね。
そして密度が高い分、重量もソフトに比べて重いのが特徴です。
一方、数多く流通されているのはソフト材。
しかも品質の差が分かりにくいように漂白しています。
これによって見た目の統一感が出るんですが、品質が相当落ちてしまい、ひび割れやすくなり、かつ燃えるように変化してしまうのです。
購入した時は分かりにくいんですが、長く使っていて差が出てしまうのため、鈴印ではそのような材料は扱っていません。
ハードの極上、それがいかに貴重であるかは、これらの事実が物語っています。
象牙の品質に関してのさらに詳しくは以下のページをご覧ください。
では次に、改めてですが象牙の鞘付きに関して特徴をお伝えしておきたいと思います。
鞘付きの特徴
店頭においてもご指名買いというよりは、説明させていただきその魅力に取り憑かれる方が多いのが特徴です。
なぜなら印章に鞘(キャップ)が付いているメリットは想像以上だからです。
- 印面の枠の破損を防ぐ
- 高級感のアップ
- 火災から印面を守る
簡単に想像できるのが、落下の際の印面の保護です。
印章で一番弱いのは、一番肝心でもある印面の枠です。
そこをキャップで保護していますから、万が一落としてしまっても守ってくれます。
鞘はもちろん象牙です。
それもひとまわり大きな材料をその1本に合わせて削り出していきますから、ある意味贅沢品でもあります。
当然重量もその分重くなりますし、また見た目もかなりの高級感が感じ取れます。
象牙はカルシウム、つまり歯と同じ成分ですから燃えません。
昔、残念ながら火災によって耐火金庫まで燃えてしまった企業様が使われていたのが鞘付きの実印でした。その辺りを掘り起こしてみると、持ち手部分は黒ずんでいるものの、鞘を外すと印面は全く問題なく保護されていて、その後の契約等がスムーズに進んだのは今でも伝説となっているお話です。
鞘は、普段なくても不自由を感じるものではありませんが、万が一の際にはあたなの大切な印章を圧倒的に守ってくれます。
鈴印の鞘付きの特徴
【違い1:形状】
密かにこの鞘にも色々な種類が存在します。
まずは上の写真をご覧ください。
左が今回のアイテムで、右が一般的な鞘付きです。
形状と高さが違うのが分かりますでしょうか?
鈴印の方は、切り込みもなくて、形はふっくらと綺麗なカーブを描き、高さもやや高め。
対して一般的な方は、上下に切り込みがあって、形は寸胴に近く、高さはやや低め。
これは歴史に由来されているのですが、元々関東では一般的な右の形が好まれていたそう。
対して関西では左の形状の人気だったそうなんです。
私自身関東の人間ですから、右に接する機会が多く、初めて左を見た時に一目惚れ。
それ以降、全ての鞘は左の湾曲がある高さ18㎜で発注しています。
【違い2:素材】
これは言われないとほとんど分からない違いになりますが、鈴印の鞘は共鞘(ともさや)と呼ばれる同一牙から取っています。
現在鞘付き印自体の需要が少ないため、あらかじめ鞘のみを用意し、それを印材に合わせて微調整する流れが主流となっています。
そのため印材と鞘で色合いや雰囲気が異なる場合がほとんどです。
対して鈴印製は見た目の雰囲気と品質を重視し、同一素材を使ってもらっています。
これらのこだわりは、私自身の感覚では、オーダースーツに近いイメージを持っています。
例えばパンツのダブルの裾幅や、セットアップの生地感のような感じです。
なんか良い雰囲気、それは細かいこだわりの積み重ねによるものだと感じていますので、私自身のこだわりが凝縮されています。
牙蓋の希少性
印章ケースには、朱肉を入れる部分が内蔵されているものが多く見られます。
そして蓋をつけることで、中の朱肉を汚れなどから守るようになっています。
その蓋が、こちらは象牙になります。
現在、牙蓋は製造されていません。
これは残念ながら作れる職人さんがいなくなってしまったためです。
当時私の父がそれを知り、片っ端から在庫を集めていたんですね。
そのため鈴印にはある程度のストックが残っています。
ただし過去にはこの牙蓋付きケースのみの販売もしていましたが、現在はケース単体での販売は終了させていただいております。
詳しくはこちらをご覧ください。
最後に
考えうる全ての良い象牙を組み合わせました。
鞘付きって決して華美ではなく、なのに迫力を兼ね備えるので、私自身とても好きなんです。
またこれは実際に手にしてみないと分かりにくいんですけど、鞘を抜く際のシュポッって感触が象牙だけは独特です。
他素材と比べて密度が高いので、真空な感じになる。
そして滑りも良いので、わずかに戻ろうとする感触があるんです。
それらが総合して独特な快感に繋がります。
全ての象牙は温度や湿度で若干の膨張収縮を繰り返します。
また彫刻することで熱が加わりまた繰り返します。
それらを全て終え、熱を落ち着かせるために数日置き、最後に鞘を削って微調整し、ロウを塗り込んで完成です。
あなたのお手元に届く際に、最高の状態でお送りいたします。
プレミアムな印。
それこそ鞘付きと言っても、過言ではないです。
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