鈴印では創業より、印鑑に最適な素材は象牙とお伝えてしてきました。
もちろんそこには理由があります。
今では象牙に限らず魅力的な素材がたくさん見受けられますが、それでも「なにがオススメか?」と聞かれれば迷わず象牙をオススメしています。
ここでは改めてその理由を5つご紹介したいと思います。
2013年8月22日に公開したブログですが、2023年3月29日にタイトルをそのままに内容を全面リライトしました。
1.耐久性が高い
基本的に印材の値段を決める大きな要因が耐久性です。
安価に入手できるプラスチックなどは劣化が激しく、何十年も使うことはできません。
柘植も木材の中では非常に硬い部類に入りますが、使い方によっては油の影響で柔らかくなり、摩滅しやすかったりもします。
水牛などのツノ材は爪と同じ成分で弾力があり長持ちしますが、歯と同じ象牙には及びません。
人間の体を構成する歯と同じカルシウムですから、極端な例では燃えません。
最近ではチタンやカーボンなど、耐久性に関して象牙を上回る素材もできてきていますが、その辺りの比較は後述します。
つまり天然素材の中で最も耐久性が高いのは、象牙。
それが象牙をオススメする1つの理由です。
2.経年変化がない
次のポイントになるのが、経年変化です。
経年変化というと不思議に思うかもしれませんが、天然素材は多かれ少なかれ変形の可能性があります。
柘植などの木材は前述の通り、欠けや摩滅が起こりやすく、使い方によっては10年程度で綺麗に写らなくなってしまう場合もあります。
水牛などのツノ材は、爪と同じ成分のため、反りや凹みなどがあったりもします。
切った爪が少し丸まるように、繊維の影響を多少なりとも受けるからです。
対して象牙は歯と同じカルシウムのため、一切の経年変化がありません。
印鑑は長く、しかも使用頻度が低い特徴があります。
そのため変形をしないということは、非常に重要でもあります。
印材の比較について詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
手彫りができる
これも1つの大きな要因になります。
手彫りができること。
先ほどご紹介したチタンですが、チタンは硬すぎて手彫りができません。
もちろん鈴印では手書き文字を使用することで唯一無二を守っていますが、全てが手作業の手彫りとは若干異なります。
手彫りでは最初に手書きの文字を用意し、それをもとに全て手作業で文字を成形していきます。
それによって作り手の意思が完璧に表現できる、つまり文字の完成度が最も高いのが手彫りになります。
もちろんこれは作り手としてのこだわりですので、何を優先するかはお客さまに委ねますが、彫刻師の立場としては手彫りをオススメしたいと考えています。
手彫り全行程について詳しくは以下のブログをご覧ください。
写りが良い
数ある印材の中で、最も写りが良いのが象牙とチタンです。
店頭で比較される方はみなさん驚かれます。
ハンコなんてどれでもそんなに変わらないでしょ?って思っている方ほどびっくりされるんですね。
これが素材の影響です。
象牙とチタンは繊維が緻密なんです。
そのため小さい印章で、朱肉を紙に転写するのに最も適しています。
先ほどご紹介したカーボンは手彫りはできますが、繊維が荒いので象牙ほどの捺印精度はありません。
もちろん綺麗に押せるレベルまで彫刻で持っていきますが、より高い精度となると象牙には及びません。
高級感がある
なんと言っても高級感に関しては、象牙は全てを超越します。
見た目のインパクトだけでなく、天然材特有の温度感、質感、さらには所有欲まで全てを満たしてくれます。
また高級感のもたらす効果は対人でも発揮することができます。
印鑑を捺す際は必ず相手がいます。
そのため契約の席では印章を時計や靴などのように、相手を量るツールとして見ている方も多いのです。
また高級感があることで大切に使うという効果もあります。
そのためお子様などに贈られ、大切に間違いなく使用するお守りにもなっているようです。
最後に
やはり昔から別格として扱われていることには理由があります。
最近では象牙に関してポジティブでない意見も耳にしますが、それらも別の大きな力が働いていることもわかりました。
正しい事実をつなぎ合わせると、象牙をゾウの生態系が再生可能な範囲で利用し、その利益で保護につなげていくことが最も大切なことでもあります。
安価なものを都度作り替えるのではなく大切に長く使い、再利用も可能であることこそサスティナブルであると考えます。
詳しくは以下の特設サイトをご覧ください。
印章を使うときは人生の中でも特別な瞬間です。
そのときにあなたを表し、またご自身が誇りを持って捺すことができる印材の最高峰は、やはり象牙であると私たちは考えます。