1万年以上前の氷河期に生息していたマンモス。
その牙はシベリアの永久凍土から今でも発掘されている、象牙に匹敵する希少な天然材です。
鈴印店頭ではかなり前から根強い人気を誇ってきたマンモスですが、ご要望多数に伴い、こちらのHPでも取り扱いを開始します。
マンモスの牙の特徴
ご覧の通り、見た目はほとんど象牙と同じマンモスの牙。
ところが細かく見ていくと、色々と異なることがわかりますので、ご紹介していきます。
1万年以上前の印材のため、品質の差が大きい
象と比べて1番の違いは、その歴史です。
約400万年前から1万年前頃、シベリアと北アメリカ大陸に生息していたマンモス。
つまり化石なんです。
近年シベリアでマンモスの冷凍標本が多く発見されていますが、これは地球温暖化と関係があるとも言われています。
温暖化の進行によってシベリアの永久凍土が溶け、それまで凍土の中に閉じ込められていたマンモスが姿を現しつつある。
それによって太古の生物の一部を、私たちが手にすることができるようになりました。
素材は象牙などと同じ象牙質。
これは私たち人間の歯と同じで、骨と似た成分になります。
そのため歴史を重ねる、つまり歳を重ねるほど、変化があることはなんとなくお分かりになるかと思います。
若い象牙は非常に硬くて粘り気があるのが特徴ですが、それと比較するとやや柔らかめなのがマンモス。
象牙にも硬いハードと、柔らかいソフトがありますが、そのソフトよりも柔らかめ。
柔らかいと言っても、そもそもが象牙質ですから、水牛と比べるともちろん遥かに強度は高いです。
それよりはっきり違いが現れるのが見た目です。
鈴印での象牙は5ランクの取り扱いがありますが、マンモスは最高級の極上のみ。
これは少しでも品質が下がると、大きく見た目に影響が出てしまうためです。
上記写真はどちらもランクの低いマンモスですが、左には大きく縦にヒビが、右は中央部分に大きな色焼けが見られます。
これはそもそもの個体差だけでなく、氷の中に眠っていたか、土の中に眠っていたかによっても異なるようです。
ヒビは個体差の影響が大きいですが、色むらは土の色が付着したことも影響を与えます。
極上素材は一番中心の部分になりますので、そのような影響も一番受けにくいため、綺麗な状態を残しています。
象牙との見極めは角質にあり
こちらはの画像は、環境省が発行している「象牙とマンモス牙・識別マニュアル」の一部をお借りしました。
シュレーゲル角とは、牙の表面にある細い線が交差した菱形模様の角度になります。
象牙が115°以上と鈍角なのに対して、マンモスは90°以下と鋭角です。
私たち日頃象牙に見慣れている人間でも「あれ?なんとなく違う?」といった程度の差になりますが、一つの目安にしています。
他にも上記サイトでは、紫外線により蛍光特性により識別方法などが紹介しれていますので、詳しく知りたい方はそちらをご覧ください。
ちなみに私たちが見極める方法は見た目よりも彫刻した際にわかります。
前述した通り硬さが象牙より柔らかく、また乾燥した歯当たりを示してくれます。
また重量も象牙より軽いため、それらも決定の対象になります。
さらに詳しくは、環境省象牙とマンモス牙識別マニュアルをご覧ください。
最後に
今回細かく象牙とマンモスの違いをご紹介してきましたが、決め手になるのはスペックよりも物語のようです。
あの太古の巨大生物の一部を手にする。
そんな性能では表せない魅力がマンモス牙にはあります。
また当社での取り扱いは国内最高峰の極上のみ。
魅力ある歴史的背景に持ち、なおかつキメの細やかさと美しさを併せ持つ貴重な印材です。
象牙と同じ成分(象牙質)のマンモスは、捺印した際の印影が鮮明かつきめ細やか。
また時間の経過と共に美しさを増していく様は、象牙と同様です。
いずれも他ではなかなか手に入らない至極の一品となります。
そんなロマン溢れる物語に惹かれた方にぜひおすすめです。