なんとなく昨今、多くのメディアでハンコ不要論が巻き起こっています。
私の見る限りでは三文判をなくそうとする動きだったり、また電子契約にすることで莫大な売り上げを上げようとする勢力だったりのようです。
まあ少なくとも時代が変わろうとして、混沌としていることは間違いありません。
そんな中おかげさまでとてもありがたいことに、非常に忙しくさせていただいております。
それはきっとこんなお客様に恵まれているからかもしれません。
印章を大切にされる会社の特徴は、長く続いている企業
これは親父もよく言っていましたが、長く続いている企業って印章を非常に大切にされている場合が多いです。
今月も私と同世代の継承者の多くが、社長交代のタイミングでご来店。
上記のような話も交え、色々とお話を伺いました。
私の両親は印章を非常に大切にしていきました。
最初はその意味が分からなかったんです。押す意味も分からないし、なんでもいいって思ってましたから。
でもある時とても大きな契約を結ぶ際に同席させられたんです。
その際に実印を押す瞬間、いつも私が知っている父ではありませんでした。
なんかこう鬼気迫るというか、覚悟を決めるというか、捺印に恐ろしいまでに真剣に向き合ってたんですね。
今ならその理由が分かります。だってあの時の契約があったから今があるので。
逆になかったらと思うとゾッとしますね。多分これからの未来を見据え、私に託す決断を示したかったのかもしれません。
本人は何も言いませんでしたけど。
捺印の重みと怖さをご存知で、だからこそ大切だということを伝えたかったのでしょう。
不思議とあのケースから出して、朱肉を付けて、上下を確認しながら気持ちを落ち着けて、未来を想像しながら捺す瞬間って、独特の緊張感が伴いますからね。
それはそのはずです。だって実印を捺す時は、企業の命運がかかっている時ですから。
老舗と呼ばれる企業は、捺印の大切さも一緒に継承されているからこそ、長く続いているのかもしれません。
最後に
印章を大切にすることって、契約を大切に考えることです。
自分のこと、自分の家族のこと、自分の社員のこと、そして相手のこと。それらを総合して考え、みなが良い方向に進むように捺印します。
つまり契約にしっかり責任を持つことが、印章を大切にすることに繋がります。
だから信頼されると私は思います。
今後簡単なやりとりに関しては、簡単なデジタルが進むのかもしれません。
一方で重要な決断を必要とする契約は、対面でしっかりと捺印するアナログの方がお互いの意思の確認ができます。
なんでも簡単で便利にすればいいってことではないですよね?
契約は自分の周りの人たちや、相手の全てが関わります。
つまりそれらを敬う行為が契約です。
相手を敬う行為は簡略化すべきではないのであれば、アナログはこれからも必要とされるのでしょう。
そして長く続く企業は、見えないところで重きを置くポイントをも継承されているようです。
伊達に長く続いているんじゃないんですよね。