あなたが今お持ちの印鑑、それが手彫りなのか、機械彫りなのか気になったことはありませんか?
購入時には深く考えなかったけれど、後からその違いが気になってきた、そんな経験がある方も多いはずです。
実際に見分けるのは専門的に思えるかもしれませんが、実は簡単に確認できるポイントがあります。
ここでは専門の彫刻士が使う見分け方をわかりやすく解説します。
これを参考に、あなたの印鑑が手彫りか機械彫りかを判断してみてください。
2013年2月23日に公開したブログですが、2022年1月17日に、さらに2024年9月7日に再度リライトしました。
手彫りと機械彫りの違いを見極めるポイントは「印面の底」
左が手彫りで、右が機械彫り
比較しやすいように、全く同じ直径で、どちらも同じく「鈴木延之」と彫刻しています。
まず結論から申し上げます。
【手彫りと機械彫りの見分け方】
印面の底を見てください
次にそれぞれ拡大した画像で細かく見ていきます。
手彫りの底面
- 底が凸凹している
- 底深さがほぼ同じ
機械彫りの底面
- 底が平ら
- 底の深さが異なる
他にもいろいろポイントはありますが、今回はまず底の部分だけを見てください。
比較的簡単に見分けられることがわかると思います。
では次に、なぜ手彫りと機械彫りで底が違ってくるのかを、彫刻方法と共にご説明します。
手彫りと機械彫りで底面が変わる理由
手彫りの彫刻方法
手彫りで底面が凸凹になる理由は、ゴリゴリと刃物の「面」で彫り込んでいくからです。
使用する道具「印刀」が以下。
狭い箇所を彫るときは細い刃先を使い、広いときは右の幅の広い印刀を使用します。
つまり刃物の面で彫るため、「チリ目」と呼ばれる凹凸ができます。
また底面の深さが均一な理由ですが、一言で言うと「ちゃんと均一に彫っているから」なんです。
同じ深さに彫ってある方が見た目も美しいですし、長く使っていて目詰まりがしにくい。
また文字デザインの段階で、部分的に窮屈にならないように文字間を広めに調整しているので、同じ深さで刃物が入ることになります。
印刀の種類が多いのは、幅が違うから。
彫る空間に応じて、幅広から薄歯までを使い分けて均等に、手彫りならではの証を刻んでいきます。
実際の手彫りの行程は動画をご覧ください。
機械彫りの彫刻方法
手彫りで底面が平らになる理由は、機械で決まった設定で彫るから。
使用するのは「ピン」です。
機械で彫る場合、歯医者さんで使われるような先の尖ったピンを使って彫ります。
ピン先が回転し、移動して彫るため、均等な深さで平らになります。
ここで疑問になるのは深さに違いが出ることかと思います。
その理由は、ピンの太さと関係します。
ピン先は鉛筆のような形状ですから、狭い部分を同じ深さに彫ると文字が細く削れてしまいます。
そのため文字を削り込まないように浅く制御、つまり深さで太さを調整するため、このように段差ができるんですね。
実際の機械彫りの様子は、動画をご覧ください。
最後に
手彫りと機械彫りの印鑑には、それぞれの特徴があり、見分け方も意外と簡単だということがお分かりいただけたかと思います。
もし、お持ちの印鑑が手彫りか機械彫りか迷っている方は、印面の底をまず確認してみてください。
手彫りの印鑑には、職人の技が込められた細かい凹凸と均一な深さがあります。
一方、機械彫りの印鑑は底が平らで、彫りの深さが場所によって異なることが多いです。
この違いを知るだけで、自分の印鑑の価値や背景をより深く理解できるはずです。
印鑑は普段使うものなので、その背景や作り手の技術を知ることで、より大切に感じられるでしょう。
もし今回の記事を参考に、印鑑の見分け方が役立った場合は、ぜひご家族や友人ともシェアしてくださいね。
また、彫刻方法やデザインにこだわりたい方、手彫りや機械彫りの具体的な違いについてさらに詳しく知りたい方は、当店までお気軽にお問い合わせください。
印鑑の奥深い世界について、さらに興味を持っていただけたら幸いです。