きちんとした印材を使い、綺麗に彫刻され、練りの朱肉で正しく押すと、印はここまで綺麗に捺すことができます。
この綺麗に捺すって感覚はきっと、制度ではなく文化なんだと思うんですよ。
昔新婚旅行でイタリアを訪れたとき、みなさん自国の文化に誇りを持っているのを感じ取れ、憧れましたね。
お店の掃除をしているダンディな方が、パリッとしたジャケットに美しいシルエットのパンツ、磨き上げられた靴、そしてティアドロップのサングラスをまとい、それはまるで映画のワンシーンのようでした。
お揃いの作業着を纏う、いわゆるショッピングモールや大手チェーン店が蔓延るアメリカ型でなく、ヨーロッパ特有の凛とした雰囲気は本当に格好よかった。
ここ日本にも世界に誇れる独自の文化があります。
書や印、これって漢字圏のみで許される文化です。
なんかそういう感覚を伝えるのを、最近は忘れていたように思います。
今まさに押印の価値が見直されています。
100円のハンコはもういいじゃん?
捺さざるを得ない印から、捺す価値のある印に変わろうとしているかもしれません。
これからさらに高まるであろう印の価値、それに見合う印を作り続けないといけないですね。
私たちが伝えていかないで、誰がする。