実印は喪服みたいな物です
こちらも家の親父がお客様によく言っていた言葉です。
結婚式に着る礼服ではなくて、お葬式に着る喪服。
なんとなく分かるような分からないような・・・
まず結論から申しますと3点
実印も喪服もあつらえないといけないのに、使うまでに急を要する
使うタイミングは何回もあるのに、いつも急すぎてなかなか新調できず、毎回同じのを使っている。
実印も喪服も礼節を重んじる場面で使用するのに、なかなか作り替えられない
毎回ちゃんとしたのにしたいと思っていても時間がなく、結局以前の物を使用している。
実印も喪服も比較対象がある
実印も喪服も一人で使うことはありません、必ず他に同じ条件の方がいます。
つまり、使うまでに用意する準備がある結婚式とは違い、お葬式は2〜3日で参列しなければなりません。
だから気づいてから作ろうと思っても間に合わないんですね。
私が社長になって一番変わったのは、お葬式の数が圧倒的に増えたことでした。
そしてお葬式に参列するたびに思い出される親父の言葉
「喪服はあまり安いのは着るなよ。お葬式ってみんな同じ格好するだろ?良い生地の喪服は黒い。黒が一番違いが目立つんだよ。それに大変でもちゃんと着替えて行け。前もってそういう準備が出来てるかどうかで家柄とかを見られちゃうからな。」
当時はずいぶん極論だよな〜なんて思っておりましたが、実際参列する回数が増えると実感しました。
周りは私なんかより遥かにお年を重ねられた方々ばかり。
やはりその中に身を置くワケですから、あの席だけは他の方々を合わせておいた方がいい。
なんだけど、やはり10年も同じのを着ておりますと体型も変わるし、流行もやはり変わります。
いくら生地がよくても、やっぱだぶだぶのスーツはちょっと・・・
だぶだぶなのにウエストきついし♡
勿論お葬式ですから決して格好つけたモノは必要ありませんが「きちんとして見える 」これは礼節を重んじる上では不可欠だと思うのです。
でも実際お葬式も明確なドレスコードって「黒スーツに黒ネクタイ」位ですよね?
下手すると黒っぽけりゃいい。
中にはあえて明るいスーツを着て来られる方も見た事があります。
じゃあ黒っぽけりゃなんでもいいの?って事になると思うんですけど、この「なんでもいい」ってトコにそれぞれの個人個人の考え方がはっきり表れるんですね。
例え年齢が若くても、しかるべき場面ではしかるべき服装をされてる方はちゃんとした人だと認識されます。
逆に若いからって若い格好だと、「ま、しょうがないよね〜」なんて思われちゃうのかなと。
で、なんか恥ずかしいな〜って居ても立ってもいられなくなって。
親父はその事を若いお客様に伝えたかったんだなと思います。
実印は確かになんでもいいです。
でも生まれて初めてみなさんと並んで押した時に初めて、自分のだけなんだか・・・
「なんか格好悪いな〜 」
その状況を一生懸命お客様に伝えておりました。
だからちゃんとした物を作っておいた方がいいんだよ、って。
でも実印は取り替えるのが大変です。
必要に迫られてギリギリでは間に合わない可能性も高いです。
そして親父は親御さんにはこう言っておりました。
「だから実印はお子さんが恥ずかしい思いをしないように、親御さんがそれを想定して前もって作ってあげておいて下さい。」
確かに私も成人になった時、スーツと共に喪服を作ってもらいました。
当時は「だったら2着分のお金でかっこいいスーツが欲しい」って思っていましたが・・・