ここでは「練り朱肉」のベタベタになった場合のメンテナンス方法をご紹介します。
一般的に使われている「スポンジ朱肉」が薄くなった場合はインクを補充するだけですが、練り朱肉は粘土のようなものなので補充という概念がありません。
また油分を含む朱肉は、場合によっては油だけが浮かび上がり、ベタベタで使えなくなってしまうことも。
せっかくお持ちでも扱い方がわからず、そのまま放置なんて場合もよく聞きます。
そのため動画を交えてメンテナンス方法をご説明しますので、参考にして下さい。
また実際にはそれでも復活しない場合もありますが、その原因と対処法まで盛り込んでいますので、最後までお付き合い下さい。
2014年12月10日に公開したブログですが2018年4月11日にリライトし、また内容を大きくリライトし2023年4月11日に再度公開しました。
使うだけで捺印のイメージが大幅に変わる練り朱肉。
色合いのみならず風合いも増して、お使いの印章の高級感が数段増しますからご愛用の方も多いです。
ちなみに私もスポンジ朱肉より、この練り朱肉をより多く使います。
押した印影は必ず誰かの手に渡るものですからね、やっぱ「おっ!」って思ってもらいたい。
とは言え、良いものはメンテナンスをしながら長く使うように、この練り朱肉も多少のメンテナンスが必要です。
温度の影響を受けるため、寒い時期は硬く、また暑い時期はベタベタになりがち。
ここ最近暖かい日もあり、多少この症状が出てきていますので、2014年12月10日に書いたブログですが、2018年4月11日にリライトしました。
朱肉のメンテナンス方法〜少しベタベタになっちゃった時の対処法
意外かもしれませんが暖かくなるこの時期、練り朱肉にも影響があります。
一方で冬に向かう寒くなる時期もまた、違う表情を見せるのが練り朱肉。
簡単に言うと
暖かい=ベタベタになる
寒い=固くなる
のが練り朱肉の特徴です。
ちなみに固くなった時は過去にブログに書いてますので以下にご紹介しておきます。
上記ブログにもあるよう、固くなった場合は温度を加えて柔らかくする必要がありますけど、ベタベタを直すのはいたって簡単。
溢れ出た油分を拭き取るだけです。
【用意するもの】手ぬぐい、またはさらしなど(繊維が出ないものならなんでもいいです)※ティッシュはNG
手拭いがご用意できたら、行う工程は3つです。
1.手拭いなどで、表面に浮いた油分を取る
実際の作業風景は以下のGIF動画をご覧ください。
この時力を入れると朱肉の形がべこべこになちゃうので、優しく優しく。
これだけで結構ちょうどいい感じになります。
でもこのままだとちょっと柔らかすぎる感じなんですね。
なのでもう一手間。
2.手拭いの一部を切り取り、朱肉の上に乗せておく
この状態で一晩置いておいてください。
手ぬぐいの繊維が油を吸い取ってくれるようで、翌日にはちょどいい硬さに固まります。
もしこれでもダメなら、別の手ぬぐいを切ったモノを再度置いて、あと1日様子をみて下さい。
安定した状態に復活すると思います。
3.朱肉を整える
ご自身でメンテナンスする場合、オススメの完成形があります。
真ん中が高い、山のような形にすると使いやすいです。
朱肉の正しい使い方は、山の裾部分を回すように使います。
するとどこかが極端に凹んだりせず、その状態を維持しながら長く使えます。
朱肉をつける時のイメージは以下の動画を合わせてご覧ください。
朱肉のメンテナンス方法〜メンテナンスできない場合
最後にどうやっても復活できない場合をご紹介します。
上記画像のように、絵の具のようにベチャベチャになっている状態。
残念ながらこの場合は、何をやっても復活させることはできません。
状態としてはもぐさやパンヤなどの繊維質より油分が多くなってしまったため、仮に復活させようとしても専門知識を要します。
またこうなってしまう朱肉は、朱肉自体あまり良いものを使っていない場合が多く、手間をかける価値がないとも言えます。
以前は記念品に練り朱肉を贈られる場合が多く、その場合予算のほとんどを器に使い、朱肉の質は重要視されていないものが多かったんですね。
朱肉にも良し悪しがあって、良いものはなくなるまで使えるのに対して、悪いものは固まったり、逆にベチャベチャになってしまったりします。
でもご安心ください。
中身の朱肉だけを入れ替えることもできますので。
記念品の練り朱肉は、器は良いものが多いので、そんな場合はもったいないので、ぜひリユースして下さい。
最後に
練り朱肉こそ本物の朱肉です。
独特の重みのある風合いは他では表すことができませんし、また何より経年による色あせもありません。
そして今回のようにメンテナンスをしっかりすれば、スポンジに寿命が訪れるスポンジ朱肉と違い、まさに一生ものです。
良いものは正しく扱えば、長く使えます。
練り朱肉はそれだけでも価値の高いものですので、お手元のそれを復活させて、気持ちよい捺印を実現させてください。
ちなみに今回、動画で使用したメンテナンスへらは、ショッピングサイトからお求めいただけます。
現在製造終了になっており、また残り数本になっていますので、お早めにどうぞ。
最後にこの際だから一新しようなんて場合のオススメを2つご紹介しておきます。
クアドロ朱肉
中身の朱肉に関しては、一般的な練り朱肉の温度による変化や経年硬化をほとんど感じられず、一年中扱いやすい状態で使用することができます。
しかも有機顔料だけを原料としたオーガニック朱肉なので、自然環境にも非常に優しい。
つまり環境にも配慮した上、温度や湿度の影響も受けにくく、正確な印影を可能にしています。
大谷石練り朱肉
また他にはない特別な朱肉が欲しい場合は、大谷石の練り朱肉もオススメです。
朱肉は油質で、かつ温度によって変化します。
そのため固まった時は練り、柔らかすぎる時は油を吸い取ってあげてください。
ただ一番の対処法は、なるべくマメに使うことです。
毎日同じように刺激を与えれば、同じ状態がキープされます。
愛情を込めて大切に様子を見ながら使い続けるのが結果、一番長持ちさせることに繋がるんですね。
使うだけで捺印のイメージが大幅に変わる練り朱肉。
色合いのみならず風合いも増して、お使いの印章の高級感が数段増しますからご愛用の方も多いです。
ちなみに私もスポンジ朱肉より、この練り朱肉をより多く使います。
印影は必ず誰かの手に渡るものですから、やはり特別な印象を持っていただきたいですよね。